お問い合せ

田中角栄「上司の心得」㉕

相手から目をそらすな

 

首相に就任し、あの「日中国交正常化交渉」の賭けに出た際も、田中は

同様に毛沢東国家主席、周恩来首相と向き合った。

当時の訪中同行記者が言っていた。

「とくに、周恩来との出会いでは、田中は火花が出るんじゃないかと

思われるくらいの迫力で握手に出た。

これは、田中のこの交渉に向けての命懸け、真剣さが周りに伝わった

瞬間でもあった。困難は多々あったが、まずあの握手があってこそ、

日中共同声明発表(1972年9月)に辿り着くことができたと見ていいんじゃ

ないか。田中と周恩来の信頼感は、あの田中の握手によって、より高まっ

たように見えた」

力強い握手の先制は、まず相手に対して親愛の情として伝わる。

最近はスキンシップとして「ハグ」が流行っているようだが、相手の目を

凝視しての握手は、さらに親近感を印象づけることになる。

単なる握手と思うなかれ、である。交渉成立への扉を開く効用は、意外に

大きいと知っておきたい。

そのうえで、交渉事での先制の握手は、あくまで力強くが要諦となる。

優しく握るのは、カノジョの手だけにしておきたい。

 

● 日中国交正常化交渉

 

1972年9月29日,当時の田中角栄首相と中国の周恩来首相は,北京で共同

声明に署名し,「恒久的な平和友好関係を確立する」ことで一致しました。

これがいわゆる「日中国交正常化」です。その後,1978年8月12日に日中

平和友好条約が署名され,両国は歴史の新たな一頁を開くことになりました。

2018/06/26

 

● 毛沢東国家主席

 

20世紀中国で共産党を指導し、国民党との内戦、日本との戦争を勝利に

導き、1949年、中華人民共和国初代の国家主席となる。

独裁的な権力を行使し、大躍進政策では失敗、さらに中ソ対立で孤立化を

深め、文化大革命を起こして混乱させた。現代中国の建国最大の貢献者と

されるが、その後の失政も現在ではその責任が大きいとされている。

1976年に死去、その後中国は大きく方向転換し共産党一党態勢の

もとでの資本主義経済の導入を果たした。

 

● 命懸け

 

死ぬ覚悟で物事をすること。また、そのさま。

決死。懸命。「命懸けの作業」「命懸けで取材する」

 

● 親愛

 

人に親しみと愛情をもっていること。また、そのさま。「親愛なる友よ」

 

● スキンシップ(skin+ship)

 

肌と肌との触れ合い。また、それによる心の交流。

 

● ハグ(hug)

 

抱きしめること。抱擁 (ほうよう) 。

 

● 凝視

 

目をこらして見つめること。「闇 (やみ) の中を凝視する」

 

● 親近感

 

自分に近いものと感じて抱く、親しみの気持ち。「似た境遇に親近感をもつ」

 

● 効用

 

1. 使いみち。用途。「うその効用」

2. ききめ。効能。「薬の効用」

3. 経済学で、消費者が財やサービスを消費することによって得る

    主観的な満足の度合い。

 

● 要諦

 

物事の最も大切なところ。肝心かなめの点。ようたい。「処世の要諦」

 

 

 

この続きは、次回に。

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