Coffee Blake-令和3年10月23日(土)「くらしの課題」②
シニア技能向上 政策で
ニッセイ基礎研究所
主任研究員 金明中さん
少子高齢化を背景に労働人口が減少する中、経済成長を維持していくには
高年齢者の労働力か欠かせない。
「現役」世代が増えることで医療や介護などの社会保障費支出の抑制も
期待できる。
4月に、企業に70歳までの就業機会確保を努力義務として課す改正高年齢者
雇用安定法が施行された。しかし、現在の労働市場では、高年齢者が存分に
活躍できるだけの土壌が整っているとは言えない。
例えば、厚生労働省が1月に発表した調査によると、65歳までの就業確保
措置を講じている企業の約80%は、定年の引き上げや廃止ではなく人件費
負担の少ない再雇用などの継続雇用制度を採用している。
雇用形態は非正規が多く、賃金も大きく下がるため、労働意欲が損なわれ
やすい。結果的に生産性も落ちるので企業にとってもマイナスではないか。
定年引き上げの検討、再雇用であっても同一労働同一賃金を徹底するなどの
対応が必要だ。
年齢を考慮した職場の環境作りも求められる。
高年齢者は、就業を望んでも体力や認知能力の問題から、今までと同じ
仕事ができなくなることもある。事務仕事が一般的な受け皿だろうが、
今後は供給過剰が予測される。
コロナ禍で広がった在籍型出向などを活用し、ミスマッチの解消に務める
ことが望ましい。労働災害への対策、若い世代との役割分担も重要だろう。
長く勤められる環境整備と同時に、社外を含め必要とされる職場に柔軟に
異動できる仕組みも構築すべきだ。
社内外で職業上の技能を磨くリカレント教育を普及させ、定年後に就労
するための教育訓練や研修を受けられるようにする。
労働者は、起業や社会貢献活動への参加など、多様な生活を選択できる
ようになるだろう。
コロナ禍のような急激な企業経営の変化があっても対応しやすい。
企業としても、意欲も能力も高い労働者を採用できる。
多彩な人材が地域で活躍するようになり、社会の活性化につながる可能性も
ある。国は民間任せにせず、積極的にリカレント教育の推進策を講じるべきだ。
人生100年時代。誰もが培った知識や技術を存分に発揮できる労働環境を
整え、豊かで、活力ある社会が維持されることを望む(聞き手・斎藤圭史)
● 土壌
ものを発生・発展させる基盤。「優秀な学者を輩出する土壌がある」
● 同一労働同一賃金
同一労働同一賃金(どういつろうどうどういつちんぎん)とは、『同じ労働に
対しては同じ賃金を支払うべき』という考え方で、正社員と非正規社員・
派遣社員の契約期間や雇用形態を理由とする不合理な待遇差別を禁止する
ためのルールです。2021/05/12
以上となります。
いろいろな方々が、「働き方改革」について、ご提案をしております。
課題は、〝具現化〟できる〝実行力〟ではないでしょうか。
今回の「衆院選」に、〝是非、一票〟を投じましょう!
2021,10.23
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美