実践するドラッカー[行動編] ⑨
A lesson from P.F.Drucker
∵人の時間を奪っていないか
自らが成果をあげるための仕事の仕方が、他の人の時間の大きな浪費に
つながっているケースもある。
『経営者の条件』—-p.61
同僚、上司、部下の時間についても、自らの時間と同じ意識をもたなければ
なりません。自らが時間泥棒になってはならないのです。
時間の大切さについて、一人ひとりの意識と習慣が変われば、組織として
大きな時間が生まれ、莫大な資源をもたらすことになります。
全員が一斉に取り組みをつくるのもいいでしょう。
例えば、毎日一○時から一二時の二時間は、原則として社内コミュニケー
ションを禁止して、相互に時間を分断しない工夫をする、などです。
その間にかかってくる電話への対応は専従者に任せ、確保した時間を侵食
されることのないよう徹底しましょう。こうして生まれた貴重な時間で、
重要な仕事に取り組むわけです。その恩恵は、すべての人に返ってきます。
時間管理は一人ひとりで行うよりも、組織全体で行う方が遥かに効果的
です。各人の心がけはもちろん、チームや組織で行える工夫もどんどん
提案していきましょう。
● 侵食
他の領域をしだいにおかし、損なうこと。「他国の市場を―する」
A lesson from P.F.Drucker
∵まとめた時間を守る
時間をまとめるための具体的な方法よりも、時間に対するアプローチの
ほうが遥かに重要である。
ほとんどの人は、二次的な仕事を後回しにすることによって自由な時間を
つくろうとする。しかしそのようなアプローチではたいしたことはできない。
心の中で、また実際のスケジュール調整の中で、重要でない貢献度の低い
仕事に依然として優先権を与えてしまう。
時間に対する新しい要求が出てくると、自由な時間や、そこでしようと
していた仕事のほうを犠牲にしてしまう。
『経営者の条件』—-p.74,p.75
苦労して手に入れた時間の塊を奪われてはなりません。無駄に使っても
いけません。
塊の時間と細切れ時間の使い方にメリハリをつけましょう。
塊の時間を使う際は、予め用意を整えておきます。
例えば、一○時から一二時まで塊の時間が確保できたとしたら、一○時
までに必要な連絡はすべて取り終え、片付けるべきものは片付け、必要
なものはそろえておき、重要なことに集中できる態勢を整えます。
そしていざ一○時を迎えたら、雑念を取り払い、集中モードに意識を切り
替え、一心に取り組むのです。
塊の時間こそが、黄金に輝く時間です。意義ある使い方ができるよう、
細心の注意を払ってベストを尽くしましょう。
この続きは、次回に。