実践するドラッカー[行動編] ⑬
A lesson from P.F.Drucker
∵重要な決定に集中する
成果をあげる者は、さほど多くの決定は行わない。重要な決定に集中する。
意思決定にかける時間を間違う者もいる。重要な決定に時間をかけずに、
意味のない、しかも易しい決定に時間をかけている。
『非営利組織の経営』—p.135
今日の商談は先週とったアポイントの結果であり、いま行っている
クレーム対応は昨日の失敗の結果です。今日の行動、明日の予定は、
過去の意思決定と行動によって引き起こされたことに埋め尽くされて
います。
しかも、決定したことのすべてを実行できるわけではありません。
能力の問題というより、明日を生み出すために新しいことを行う時間が
ないのです。時間という最大の制約条件のもと、何を決定し、何を実行
するかを考えることが重要です。
多くのことを決めたところで、そのどれもが中途半端に終わってしまう
でしょう。
現実には、最も重要なことを決め、実行するだけで精いっぱいです。
・この一年でやり遂げなければならない重要なこと
・この一か月でやり遂げなければならない重要なこと
・この一週間でやり遂げなければならない重要なこと
・今日やり遂げなければならない重要なこと
前章で学んだ時間管理を生かしつつ、明日をつくる行動に集中しましょう。
A lesson from P.F.Drucker
∵事実ではなく、意見から始める
意思決定は「意見からスタートせよ」というドラッカー教授の教えは、
「事実からスタートせよ」と説く一般的な指摘とは大きく異なります。
事実からスタートする人は、事実集めに奔走します。しかし、見る側面や
評価の基準が違えば、認識される事実はお願いがあるのですが違なるもの。
現実は人の数だけ存在し、意思決定にとって意味ある情報とはなりません。
それまで事実だと信じられていたことが、実は仮説だったりすることは
よくあります。世の常識や周知の法則も、その多くは仮説であり、確固
たる事実や絶対的な性格はほとんどないと思ったほうがいいくらいです。
そんな現実の中で私たちが身につけなければならないのは、正しい答えを
探そうとしない、という姿勢です。
重要なのは、正しい問いを発し、検証すべき仮説を明らかにすることです。
● 奔走
忙しく走り回ること。物事が順調に運ぶようにあちこちかけまわって
努力すること。「募金集めに奔走する」
この続きは、次回に。