実践するドラッカー[行動編] ⑮
A lesson from P.F.Drucker
∵問題の根本を問う
問題が一般的なのか例外的なのかが明らかになれば、何についての問題か、
何が問題か、何が問題解決のカギかを見つけやすくなる。
ただし最大の危険は、問題を誤認することではなく、不十分なとらえ方
しかしないことにある。
『P・F・ドラッカー経営論』—-p.232
問題のとらえ方が不十分だったり、謝ったりすれば、間違った意思決定が
導かれます。にもかかわらず、問題を明らかにするプロセスがおろそかに
されがちです。
例えば、「職場にたびたび遅刻する」という問題を抱えた人がいたとします。
「目覚まし時計を増やす」という解決策を安易に選ぶ前に、問題を根本から
考えてください。
・何についての問題か—-時間どおりに起きられないこと。
・何が問題か—-睡眠時間が少ないこと。
・それはなぜか—遅くまでテレビゲームをしているため。
・何が問題解決のカギか—二三時以降はゲームをしない。
さらに突っ込んで考えれば、そもそも確保すべき睡眠時間は何時間か、
代わりに廃棄すべきことは何かなど、意思決定のための材料が浮かんで
きます。
私たちはすぐに答えを求めがちです。ぐっとこらえて、問題の真の発生源に
行き着くまで粘りましょう。その過程で、課題や真の効果的な解決策が
見つかります。
A lesson from P.F.Drucker
∵目的を明らかにする
意思決定においては、決定の目的は何か、達成すべき目標は何か、
満足させるべき必要条件は何かを明らかにしなければならない。
『経営者の条件』—-p.174
意思決定の目的は何か、何を実現しようとしているのか。
目的を明らかにする際は、目的と目標を使い分けることが肝心です。
目的は、行動する時の理由です。
目標は、どのレベルまで行うかという到達点を示すものです。
例えば、お金を貯めるとしましょう。
お金は何かを行うための手段ですから、まず何のための貯金か、目的を
決めます。
来年の海外旅行の資金、将来の住宅取得の頭金などいろいろ考えられますが、
海外旅行なら三○万円、住宅資金なら一○○○万円といったように、目的が
決まって初めて目標が決まります。
必要な金額がわかれば、毎月の積立額など具体的な行動が見えてきます。
「とりあえず一○○○万円貯めよう」では、成果が出なくて当然です。
目的が不明確のままでは、目標も行動も仕方もはっきりせず、成果は
あがりません。複雑な意思決定を迫られているときであればあるほど、
この点を見失わないようにしてください。
この続きは、次回に。