Coffee Blake-令和3年10月31日(日)「シニアサポーター」
10月も今日で終わり、明日から11月を迎えます。
今年も残り、2ヶ月となりました。
日経新聞 10月27日「シニアサポーター」で「退職金」についての
記事が掲載されておりました。
「退職金」は、社会人にとっては大事なことです。
改めて、「退職金」について、確認致しましょう!
2021.10.31
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美
シニアサポーター
退職金、いくらもらえるか?
受け取り方は?
もうすぐ定年を迎えます。実家の親が介護を必要としており、その費用も
心配になってきました。別の会社で退職した友人には退職金が出なかった
とも聞きます。退職金制度の有無の調べ方や、いくらもらえるのか、
どんな受け取り方があるのか教えてください。
現役の時から老後資金を意識する働き手が増えてはいるが、自分の退職金は
退職が近づいてから考え始める人もいるだろう。
■ 企業に法的義務なし
退職金は法律上、義務付けられた制度ではない。
厚生労働省の調査(2018年)では、退職金制度のある企業の割合は80.5%。
企業の企業別にみると、従業員300人以上だと9割を超える一方、同じく
30人以上100人未満では77.6%にとどまる。
まず勤務先に退職金制度があるのかどうか確認しよう。
人事労務関係の部署に問い合わせしにくい人は就業規則を見てみよう。
労働基準法は常時10人以上を雇う使用者に対し、労働時間や賃金、退職に
関する就業規則の作成と周知を義務付けている。
具体的な制度設計は別途、規定で定める企業も多いが、少なくとも制度の
有無は確認できる。
金額、勤続年数や給与に連動
■ 年功序列か貢献度
退職金の制度があると確認できたら、真っ先に気になるのは支給金額
だろう。
企業の退職金制度に詳しいりそな銀行年金信託室グループリーダーの
棚谷和行さんによると、支給額の代表的な計算方法は①勤続年数に連動
②退職時の給与に連動③入社から退職までのポイント制④市場利回りに
連動—–の4パターンだ。
①は勤続年数が長いほど金額が増える。
退職理由が自己都合か会社都合かといった個別の事情で若干の差がつく
ケースはあるが、年功序列の性格が強い。
②は昇給が反映される分、①より成果主義の色合いは濃い。
ただ極端な話、退職直前の昇給でも退職金は増えるため、タイミングにも
左右される。
③は入社から退職までの給与や役職をポイント化して累積したうえで、
一定の計算式に当てはめる勤務期間中の会社への貢献度が反映されやすい。
④はキャッシュバランスプランとも呼ばれ、国債利回りなどに応じ給付額が
変動する。個人の働き方以外の要素に影響される。
退職金規定などで勤務先の制度設計を確認すれば、大まかなイメージは
わく。
実際の退職金の額については、定年退職が近づいた社員向けのセミナーで、
会社が計算方法などを説明してくれるケースもある。
■ 一時金に特別な控除
受け取り方も勤務先によって異なる。
大まかにいえば定年時にまとめてもらう一時金形式、分割してもらう年金
形式、両者の併用形式の3パターンで、受け取り方が変われば税引き後の
手取りも変わってくる。
一時金は原則、税法上の退職所得に分類され、特別な控除の制度が設け
られている。退職金には賃金の後払い、老後資金といった性質があり、
他の所得と比べて相対的に税負担を軽減するための税制上の措置だ。
退職所得控除と呼ばれる非課税枠は勤続年数に乗じて算出され、年数が
長いほど控除される金額が大きくなる。
具体的には勤続20年までは年40万円、20年超は年70万円ずつ増えていく。
例えば、大学卒業後60歳まで38年間勤務した場合、2060万円までが
非課税枠となる。1年未満の端数がある場合、たとえ1日でも1年として
計算できる。
控除を超えた分の半額が課税対象となる。所得税は所得金額に従って
階段状に税率が上がっていく累進課税だが、退職所得は分離課税といって、
他の所得と分けて税率が決まる。
他に収入があっても、税率に影響を与えることはない。
■ 年金形式、終身か有期か
年金形式は雑所得となる。この場合も公的年金等控除という非課税枠が
あるが、ほかの公的年金などと合算するため、控除の枠を超えやすい。
控除額は対象となる年金などの合計金額や、65歳未満か以上かで異なる。
社会保険料にも影響してくる。
年金形式は終身か有期かも確認しよう。
一括で受け取る場合、年金で受け取った場合の何年分に相当するかが
重要になる。長寿化の時代、その年数以上に長生きすれば、年金のほうが
得になる計算だ。終身の場合は保証期間の有無もポイント。
保証期間付きであれば、仮に本人が早く亡くなっても、遺族らに保証期間中の
年金は保証される。
大金を手にすれば浪費のリスクも伴う。りそな銀行の棚谷さんは「退職金を
年金で受け取るのは、公的年金と同様に保険の性格がある」と指摘する。
自分の性格やライフプランも踏まえ、退職金の受け取り方を考えよう。
(嘉悦健太)
● 一時金形式と年金形式の比較
所得税の区分—-一時金→退職金所得
年金→雑所得
税控除の種類—-一時金→退職所得控除(勤続年数が長いほど控除額は大きい)
年金→公的年金等控除(年齢や他の年金も含めた所得で決まる)
社会保険料—–一時金→かからない
年金→国民健康保険、介護保険料の対象
メリット——–一時金→税引き後の手取り総額が多くなりやすい
年金→老後資金が安定しやすい
注意点———–一時金→計画的に使わないと老後資金が枯渇
年金→収入次第では税負担が大きくなりやすい
● 一時金で受け取った場合の課税イメージ
退職所得=退職所得控除+控除後の金額
退職所得控除—-勤続年数に連動
控除後の金額×1/2←課税←税務署
■ 退職金制度の形式別比率
退職一時金のみ——5.6%
退職年金制度のみ—9.0%
両制度の併用——–85.4%
(出所) りそな年金研究所(中央労働委員会調査を基に作成)
(注) 2019年6月末現在、原則として資本金5億円以上・労働者1000人以上の
大企業から中央労働委員会が選定
社会人の方は、現在、会社からいただく〝給与明細書〟を再確認したほうが
良いと思います。給与明細書の支給項目には、会社毎に「基本給」「職務
手当」「能率給」等々、いろいろな支給項目があります。
ついては、私の知る限りでは「基本給」に対してのみ、〝退職金が計算〟
されると思います。支給額総額ではないということ、どの支給額に対して、
計算されるのか、を確認していただければと思います。
「45歳定年制」の記事等も拝見致します。また、「インターシップ型雇用」や
「ジョブ型雇用」等、これまでの「働き方」についても、変化が取り沙汰
されております。
これまでの「退職金制度」にも関わりますので、情報を都度、確認したいと
思います。
2021.10.31
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美