実践するドラッカー[行動編] ⑲
A lesson from P.F.Drucker
∵認められたいという欲求
自己目標管理は、人間というものが責任、貢献、自己実現を欲する存在で
あると前提する。
『マネジメント<中>』—-p.86
そもそも自己目標管理は、人の働く動機に深く根ざした道具です。
一般に人は、社会の中で承認されることを欲しています。
なぜなら、自分の理想的な姿は社会との関わりで描かれ、その姿とどれ
ほど乖離しているかを常に気にしているからです。
それゆえに、自己評価は、他人の基準でどう見られているかに大きく左右
されます。その意味で、どれだけ組織の中で貢献と責任を果たしたかは、
他者からの承認に関わる重要な要素といえます。
一人ひとりの貢献の意図が縦横に織り成して一枚の布、つまり組織の成果が
できあがります。誰かの糸が短かったりすれば、満足な布はできません。
いい加減な貢献は組織の成果を小さくします。
目標は、貢献の具体的な姿、つまり到達点を示すものです。
自ら設定した目標をもって貢献することで、組織の中で責任を果たし、
成果をもたらすのです。それがひいては、他者から認められることに
つながり、自分自身を満たす者となります。
● 乖離(かいり)
そむきはなれること。結びつきがはなれること。
「人心から乖離した政治」
● 縦横(じゅうおう)
1. たてとよこ。また、南北と東西。「市街を―に貫く通り」
2. あらゆる方面。四方八方。「国内を―に走る鉄道」
3. 思いのままに振る舞うこと。また、そのさま。自由自在。
「―に活躍する」「才気―」
4. 合従 (がっしょう) と連衡 (れんこう) 。
A lesson from P.F.Drucker
∵人は目標達成を好む
人の本性は、最低ではなく最高の仕事ぶりを目標とすることを要求する。
『現代の経営<下>』—-p.108
人の脳には、目標達成を「快」と感じる機能が備わっているといわれます。
しかも、目標達成をイメージすることまでも「快」とするのです。
人は目標達成を好む動物だということです。
人には自己賞賛と呼ばれる性質があり、自分をよく思うことを好みます。
達成感や使命感の充足、自己実現などと同種のものです。
また、他者に注目されたい、よい評判を得たい、受け入れられたいと
願う承認欲求もあります。
これらはすべて、他人の評価を自分がどう思うかで決まります。
いくら人並み以上の評価を他人がしてくれても、本人が最高の評価を
期待していれば、認められていないと考えるのです。
したがって、目標に達成したと自分で判断できるよう、期待レベルを
事前に明確にしておくことは、とても重要です。
自ら設定した目標を達成すると、充実感や達成感が生まれます。
それらが自信につながり、次なる挑戦を促します。もっとたくさん、
もっと速く、もっとよく——-自ら設定する目標に限界はありません。
人は常に挑戦的な、最高の目標を欲します。
私たちがもっている内なるメカニズムをうまく利用して、自身の成長を
促しましょう。
この続きは、次回に。