実践するドラッカー[行動編] ㉚
A lesson from P.F.Drucker
∵コンセプト化、一般化の効果
優れたビジネスマンは、優れた科学者や優れた芸術家と同じように、(中略)
最も個別的、最も具体的なことから出発して、一般化に達する。
『傍観者の時代』—-p.238
ドラッカー教授は、社会を見る才能と役割を天から与えられました。
次の時代を見通す力は、『断絶の時代』『ボスト資本主義社会』『ネク
スト・ソサエティ』などでいかんなく発揮されています。
ドラッカー教授は、コンセプト化、一般化の天才でした。
顧客第一主義、自己目標管理、経営戦略、選択と集中、民営化など、
教授が世に送り出した言葉の多さは、コンセプト化能力の象徴です。
ドラッカー青年は二四、二五歳の頃、米国小売業界の革命児ヘンリー
おじさんからコンセプト化の重要さを学びました。
商売上の逸話を延々と聞かされた中に、経験から導き出された法則性が
数多くあることに気づいたのです。
それらのコンセプトは、多くの出来事を集めて分析的に得られたという
よりも、むしろ少数の出来事から知覚的に導き出されました。
コンセプト化、一般化は、難易度の高い学び方ですが、問題解決の方法
として身につけておかなければならない能力です。
物事を見たり聞いたりする際は、自分に関係のない特殊なこととみなさず、
常に自分に置き換えて考え、一般化することで、いつでも使える道具と
して身につけていきましょう。
A lesson from P.F.Drucker
∵陳腐化リスクに備える
企業家社会は継続学習を必然のものとする。(中略)
企業家社会では、成人後も新しいことを一度ならず勉強することが常識と
なる。二一歳までに学んだことは五年から一○年で陳腐化し、新たな理論、
技術、知識と代えるか、少なくても磨かなければならなくなる。
そのため、一人ひとりの人間が、自らの継続学習、自己啓発、キャリア
について責任をもたなければならなくなる。
『イノベーションと企業家精神』—p.315
時間管理、意思決定、強み、貢献、集中といった、社会に出てから
身につけた能力は、強化されることはあっても、基本的に低下する
ことはありません。
しかし知識の陳腐化のスピードが早い現代では、大学時代に学んだ
知識は瞬く間に陳腐化します。陳腐化に対抗するには、知識を更新
するシステムを用意しなければなりません。
その一つの方法が、定期的に学校に戻ることです。
社会に出てからのほうが体系や課題が鮮明になっており、学校で学ぶ
効果が出やすいことが多々あります。
また、学校に通わなくとも、特定の分野を集中して二〜三年学べば、
専門性を得ることは難しくありません。
大切なのは、計画的な継続学習の習慣です。
陳腐化リスクに備えつつ、知識の装備率をあげるために時間を投資する
のです。
この続きは、次回に。