実践するドラッカー[行動編] ㉜
A lesson from P.F.Drucker
∵成功とは何か
知識社会では、成功が当然のこととされる。
だが、全員が成功することはあり得ない。
失敗しないことがせいぜいである。(中略)
そこで、一人ひとりの人間及びその家族にとっては、何かに貢献し、
意味あることを行い、ひとかどとなることが決定的に重要な意味を
もつ。第二の人生、パラレル・キャリア、篤志家としての仕事をもつ
ことは、社会においてリーダー的な役割を果たし、敬意を払われ、
成功の機会をもつということである。
『プロフェッショナルの条件』—-p.213
厳しい現実ではありますが、すべての人が成功者になることはありえません。
そもそも、成功とは何でしょう。お金や名声、地位でないことは確かです。
お金は貯めるためにあるのではなく、使って初めて意味をもつ道具であり、
地位や名声も、何か目的とすることを行うための手段だからです。
成功の本質とは自己実現にありますが、理想の自分に向かう道は他人からの
評価によって補強されます。しかし、全員が成功することは、残念ながら
ありえません。そんなとき、人生の挑戦ゲームを降りるのではなく、
新たな挑戦の場を求めよといいます。
そこで新たな貢献、もう一つの貢献の形を見つけるのです。
● パラレル・キャリア
パラレルキャリアは、収入の基盤となる本業と並行して、自分の好きな
分野で第二のキャリアを築くことと定義されています。
元々は、経営学者のP・Fドラッカーが著書『明日を支配するもの-21世紀の
マネジメント革命』(ダイヤモンド社)内で紹介した、ひとつの企業に
捉われない、これからの社会での働き方・生き方に対する考え方です。
2020/10/21
● 篤志家(とくしか)
「篤志家」とは「社会奉仕や公共の福祉などを熱心に実行したり支援
したりする人」という意味の言葉です。
また「篤志」は「志(こころざし)が篤(あつ)いこと」で、特に社会奉仕や
慈善活動に熱心であることの意味で使われます。2021/01/15
A lesson from P.F.Drucker
∵ワークライフ・バランス
今日、大企業や巨大企業は経営管理者に対し、会社を生活の中心に据える
ことを期待しすぎている。しかし実は、仕事オンリーの人間は視野が狭く
なる。仕事オンリーでは、組織だけが人生であるために組織にしがみつく。
『現代の経営<下>』—p.72
ワークライフ・バランスは、今や国民的課題です。仕事の他に、家族や
地域社会との関わり、自己開発への投資、余暇の過ごし方など、さまざまな
活動の量と質のバランスをいかにマネジメントするかが問われています。
その際、注意すべき点が四つあります。
第一に、バランスを取ろうとする分野を意識することです。
仕事と生活だけでなく、健康、経済、家庭、社会、人格、学び、遊びなど、
具体的に考える必要があります。
第二に、それらの分野の目標を立てることです。毎年、数年ごと、数十年
単位で目標を立てることです。
第三に、目標を達成するための時間を確保することです。
いままでの時間の使い方では、さまざまな目標を達成することはできない
でしょう。
最後に、行動です。焦る必要はありません。
わずかでも歩を進めるという意識があれば十分です。
これらのバランスを実現したとき、ドラッカー教授がいう第二の人生も
見えてきます。「七五歳現役時代」を生き抜くには、人生と生活の中で
多くの分野をバランスさせる知恵が不可欠です。
この続きは、次回に。