実践するドラッカー[行動編] ㉝
A lesson from P.F.Drucker
∵真のプロフェッショナルを目指して
私は、この会話から三つのことを学んだ。
一つは、人は、何によって人に知られたいかを自問しなければならない
ということである。
二つめは、その問いに対する答えは、歳をとるにつれて変わっていかな
ければならないということである。
成長に伴って、変わっていかなければならないのである。
三つめは、本当に知られるに値することは、人を素晴らしい人に代える
ことであるということである。
『プロフェッショナルの条件』—p.107,p.108
ドラッカー教授が四○歳のときのこと。
父アドルフとともに、病床の大経済学者ジョゼフ・A・シュンペーターを
見舞いに訪ねました。その時のアドルフとシュンペーターとのやり取りを
『プロフェッショナルの条件』から紹介します。
「自分が何によって憶えられたいか、今でも考えることはあるかね」と
いうアドルフの問いに対し、シュンペーターはこう答えました。
「その問いはいまでも、私にとって大切だ。
でも、むかしとは考えが変わった。今は一人でも多くの優秀な学生を
一流の経済学者に育てた教師として憶えられたいと思っている」
怪訝な顔をするアドルフを尻目に、シュンペーターはこう続けました。
「人を変えることが出来なかったら、何も変えたことにはならないから」
若かりし頃のシュンペーターの「むかしの考え」は「ヨーロッパ一の
美人を愛人にもつヨーロッパ一の馬術家として、そして世界一の経済
学者として憶えられたい」でした。
傍らで見ていたドラッカー教授は、気づきました。
憶えられたいことは、年齢を経るとともに変わっていかなければならない
ことを。そして、真に憶えられるに値することは、人を変えることであると
学んだのです。
記録ではなく、人々の記憶の中にある。
それが真のプロフェッショナルです。
実践ノート⑪
師を仰ぐ人、影響を受けたことは誰ですか。それらの人から学んだことは、
いまの仕事にどのように生きていますか。
—-hint—-
■ 著名人や両親、上司だけでなく、同僚、部下、ライバルも師となる。
■ 学んだことは「〜しなくなった」「〜できるようになった」と表す。
■ いまできてなくても、これからしようと思うことでも可。
実践ノート⑫
あなたが教えることのできる知識や技能、経験は何ですか。
どのようにすれば、教える機会をつくることができますか。
—-hint—
■ あなたが他の人より秀でているもの。
■ 誰か一人に伝えられるような小さなこと、明日からできることもよい。
■ 『実践するドラッカー[思考編]』160、実践シート⑭参照。
実践ノート⑬
継続して学習していること、今後も学習する必要があることを具体的に
書いてください。
—-hint—
■ 数年レベルで継続しているもの、継続しようとしているもの。
■ それは、卓越性につながるものか。
実践ノート⑭
仕事以外でどのような目標を持っていますか。
具体的に行っていることがあれば、それも挙げてください。
—-hint—
■ 家庭、コミュニティ、社会、学び、遊び、健康など。
■ ワークライフ・バランス上、重要な活動や行動。
実践ノート⑮
あなたは何によって憶えられたいですか。過去はどうでしたか。
いま、これからはどうですか。
—-hint—
■ 世の中や特定の人の役に立って初めて記憶される。
■ 年とともに変化することもある。
この続きは、次回に。