Coffee Blake-令和3年12月13日(月)「おひとりさま」
日経新聞 2021年(令和3年)12月9日「人口と世界 新常識の足跡④」に、
『「おひとりさま」家族の標準』のタイトルで記事が掲載されております。
世界の単身世帯状況を知るためには、大変、参考になると思います。
参考にご紹介致します。
2021.12.13
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美
人口と世界 新常識の足跡④
看護師の余琨さん(38)は両親に買ってもらった中国・上海の2LDKの
マンションに3年前から一人で暮らす。溺愛する飼い猫の高級キャット
フード、お気に入りのアイドルのオンラインイベント——-。
高額な住居費が不要で1万3千元(約23万円)の月収の大半を、自分のために
使える。
「結婚の必要性は感じない。流れに身を任せ、1人充実した人生を送る
方が楽しい」
世界で3割増
2020年代前半にも総人口の減少がはじまる中国。
家族を持つことに伴う経済的負担を嫌い、都市で独り身を選ぶ若者が
増えた。地方の親世代は一人暮らしや老夫婦で生活を「空巣老人」と
呼ばれる人も少ない。
中国の一人暮らしの成人は21年には18年比3割増の1億人に迫るもよう。
広がる孤独 官民で克服
伝統的な大家族は解体されつつある。「おひとりさま」の増加は世界的な
傾向だ。ユーロモニターによれば、世界の単身世帯数は18年から30年に
かけ3割程度増える。従来、大家族が多かったアジアも40年には5人に
1人は単身者となる。すでに欧米主要国の単身世帯比率は3〜4割。
フィンランドでは、夫婦と子供の核家族の2倍を占め、最も標準的な
世帯となっている。
単身世帯の増加は非婚化と少子化を同時に進ませ、人口減少を加速させる。
介護や福祉も家族の扶助が困難になり、孤独による心身の負担は増し、
公的支援は重くなる。経済や社会の構成単位を一変させる家族の解体に
世界は向き合い始めた。
18年に世界初の「孤独担当相」を設置した英国。孤立が高齢者の認知症や
若年層のメンタルヘルスを悪化させ、医療費を増やすことへの危機感が
強い。超党派議員でつくる委員会は、孤独の悪影響は英国経済に年間
320億ポンド(約5兆円)の損失をもたらすと試算した。
高齢者・若者結ぶ
社会の活力を奪いかねない孤独といかに共生するか。
単身世帯比率が4割のスウェーデンには、孤独社会の生活インフラの
モデルとして注目される施設がある。
南部ヘルシンボリ市に地元NPOが開設した「セルボ」だ。
単身高齢者と安価な住居を探す海外からの移民、若年世代などが同居する。
高齢者が移民に英語を教え、若年層が高齢者の生活を扶助する。
民の創意工夫で孤独な高齢者とビジネスを両立させる動きも出始めた。
65歳以上の4人に1人が社会的に孤立しているとされる米国。
17年に創業したPaPaは若者が高齢者を訪問。
数十ドル程度の報酬と引き換えに家事代行や会話、ゲームの相手を担う。
会員数は前年比4倍に増えた。
11月には「シニアテック」の台頭を見越したソフトバンク・ビジョン・
ファンドなどから出資を得て、企業価値は14億ドル(約1600億円)になり、
賛同の輪を広げる。
明治大学の金子隆一特任教授(人口学)は「単身者が心身ともに健康で、
高い生産性を発揮するため、個々の状況に応じた医療や支援体制が必要と
なる」と指摘する。
家族というつながりを喪失し、社会に散らばったよるべない個人をいかに
結びつけ、支え合うか。
孤独という人口減少時代の病を官民の力で克服しなければ、社会は基盤
から揺らぐことになる。
●● 主要国の単身世帯は増加●●
・日仏 2005〜30年 ・英国 06〜31年 ・韓国 07〜30年
・米国 00〜25年 ・ドイツ 07〜25年
フランス 75%
英国 60%
韓国 43%
米国 35%
日本 26%
ドイツ 17%
●●全世帯に占める比率●●
・英独 2011年 ・それ以外 15年
フランス 35%
英国 31%
韓国 27%
米国 28%
日本 35%
ドイツ 37%
(注)OECDと国連の資料を基に作成
● 空巣老人
空巣老人(あきすろうじん、あきのす[1]ろうじん、中国語: 空巢老人、
拼音:kōng cháo lǎo rén、コンチャオラオレン)は、中華人民共和国に
おいて子供が成長し家を離れたため、一人または夫婦のみで生活する
高齢者を指す語[2][3]。子供が都市へ流出し、親や祖父母が家に残される
様子を雛鳥が巣立って親鳥が取り残されることに喩えたものである[4]。
2010年代より空巣老人は急増しており、中国で社会問題となっている[2]。
また空巣老人よりも事態が深刻とされる、唯一の子供を失ってしまった
高齢者を指す「失独老人」という語も登場した[5]。
● 扶助
力添えをして助けること。援助。「親を―する」「相互―の精神」
● メンタル‐ヘルス(mental health)
心の健康。精神衛生。
● 共生
共に同じ所で生活すること。
● PaPa
高齢化社会の日本でも人気が出そうなサービスなので、その詳細を紹介
したい。Papaは一人暮らしのシニアを対象としたサービスだ。
孫と言ってもお届けするのは子供ではなく、地元の大学生である。
利用者は孫をアプリ、ウェブサイトまたは電話でリクエストすることが
できる。家事の手伝いやソーシャルメディアの使い方、病院の送り迎え、
ゲームの相手……。様々な使い方が想定されており、サービス内容は限定
されていない。利用者をお風呂に入れるといった介護行為はサービスに
含まれていない。
もちろん孫を務める大学生は事前に面接と厳密なバックグラウンドチェック
を受けている。選考通過率4%とのことだが、600人を超える「孫」が在籍
している。利用料金は1時間当たり20ドル、うち12ドルが孫に支払われる。
月額30ドルのプレミアム会員になると、ランダムに派遣される孫ではなく、
お気に入りの孫を指定できるようになる。
現在はシニア本人が利用する、または遠く離れた家族が孫を派遣するような
形でサービスを利用できる。
● シニアテック
・シニアテックの理念
1. 中高年の技術者に、永年培った経験、知識、技術を生かし、社会に
貢献できる、職場を提供する。
2. 技術を若手技術者に伝承し、プロの技術者(コンストラクション・
マネージャー=CMr)を育成する。
● よるべ(寄る辺/寄る▽方)
頼みとして身を寄せるところや人。また、頼みとする配偶者。
「―のない老人」「我が身の―と頼まむに、いと頼もしき人なり」
● 官民
官吏と人民。 公務員と民間人。 また、官庁と民間。
「国勢調査」の記事や今回の「おひとりさま」の記事を拝見し、
人ぞれぞれの〝人生観〟を感じました。
私は、幼少の頃は〝七人家族〟で大変、賑やかでした。
三世帯でしたので、いろいろと楽しい思い出があります。
今は、夫婦で暮らしており、子どもたちはそれぞれ結婚し、子ども
(私たちにとっては、孫です)をもうけ、近隣に住んでおります。
私たちもそのうちに、別な意味で〝おひとりさま〟になると思います。
今と私たちの時代では、大変、異なるため一概に比較はできないと
思いますが、私自身は、一人より二人、二人より三人と、〝家族〟を
持つことの素晴らしさを感じています。
少子高齢化、孤独死等々を考えますと、より良い施策を今後も望みたいと
思います。
2021.12.13
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美