「人を動かす人」になれ! ㊷
5章 女性、中途採用—相手によって手法を変えろ!
46.女性社員と見れば会社の雰囲気がわかる
最近、若い女性社員に「暗い感じの化粧はするなよ」とよくいう。
暗い感じの化粧とは、赤やピンクではなく茶色や紫色に近い色の口紅を
塗った、雰囲気全体が暗い感じのする化粧のことである。
やっかいなことに、これが今の若い女性の間で流行している。
テレビに出演している若い女性タレント、ファッション雑誌に登場する
人気モデルも同じ化粧をしている。ほかにも、茶髪とかピアス、わざと
上着のすそからシャツをはみ出させるようなファッションもある。
わが社の社員が休みの日にどんな化粧をしていようが、どんなオシャレの
楽しみ方をしていようが干渉するつもりはない。
しかし、通勤途中も含めて社内にいるときは違う。会社にはいろいろな
お客様が来られるし、仕事をするのに不自然な化粧や服装というのもある。
それを注意し、説得するのもリーダーの務めだ。
特に二○歳前後の女性は、要注意である。最初の段階で手抜きをすると、
〝朱に交われば赤くなる〟のことわざ通り、どんどん周囲を巻き込んで
エスカレートし、歯止めが利かなくなってしまう。
十数年前、わたしは立地条件に恵まれた京都・四条大宮にあった本社
事務所を、烏丸御池のオフィス街に移転したことがある。
この理由は、本社近くにクラブやスナック、サラ金業者が増え、退社
時間になるとケバケバしい服装や化粧の女性を数多く見かけるように
なったからだ。このことからわかるように、わたしは女性社員こそ会社の
現在と将来を映し出す鏡、つまり、女性社員の躾も充分にできないような
会社が大きく成長するはずがないと考えている。
この信念が冒頭の「暗い感じの化粧はするなよ」という言葉に結びついて
いくのだ。ただし、それがいまの流行であることを知ったうえで、その
いけない理由も説明して説得する。
これをただ「ダメなものは、ダメだ」では若い社員は納得しない。
自分の信念を相手に伝えるときに一番重要なことは相手の目線に自分を
置く。すなわち、流行や時代の流れや変化にも敏感になること。
「何も世間のことは知らないくせに—-」と感じさせるようでは、いくら
強い信念を持っていたとしても説得力を持たない。
これでは、男女を問わず、年齢の離れた若い部下は絶対に動かせない。
● 朱に交われば赤くなる
交わる仲間や友人によって感化されることのたとえ。
人は周囲に影響されやすく、交際する相手によって善にもなれば
悪にもなる。 [解説] 「朱」は、朱色の顔料で、古くから漆の着色や
絵具、朱肉などに用いられてきました。
● 歯止め
事態の進行を抑えとどめる働きをするもの。
「インフレに―をかける」「欲望の―がきかなくなる」
● エスカレート(escalate)
段階的に増大したり激化したりすること。「争いが―する」
● 躾/仕付け(しつけ)
「躾」とも書く。「躾」は国字》礼儀作法をその人の身につくように
教え込むこと。また、その礼儀作法。「家庭の―がよい」「―が厳しい」
● 信念
1. 正しいと信じる自分の考え。「―を貫き通す」「固い―」
2. 宗教を信じる気持ち。信仰心。
この続きは、次回に。