P.F.ドラッカー 「仕事の哲学」⑬
DRUCKER SAYINGS ON INDIVIDUALS
第5章 進むべき道
知識は、職業の定められた社会を、職業を選べる社会に変えた。
今やいかなる種類の仕事に就き、いかなる種類の知識を使っても、
豊かな生活を送れるようになった。
—-『断絶の時代』
□ 職業を選べる悩み
先進国社会は、自由意志によって職業を選べる社会へと急速に移行しつつ
ある。今日の問題は、選択肢の少なさではなく、逆にその多さにある。
あまりに多くの選択肢、機会、進路が、若者を惑わし悩ませる。
—-『断絶の時代』
□ 自分を使って何をしたいか
選択肢を前にした若者が答えるべき問題は、正確には、何をしたらよいか
ではなく、自分を使って何をしたいかである。
—-『断絶の時代』
□ 就職は自らの実存にかかわる問題
社会は一人ひとりの人間に対し、自分は何か、何になりたいか、何を
投じて何を得たいかを問うことを求める。この問いは、役所に入るか、
企業に入るか、大学に残るかという俗な問題に見えながら、実は自らの
実存にかかるか問題である。
—–『断絶の時代』
□ 自由の代価としての責任
今日ふたたび我々は、昔からの問いである一人ひとりの人間の意味、
目的、自由という根源的な問題に直面している。
世界中の若者に見られる疎外の問題が、この問いに答えるべきことを
迫っている。組織社会が、選択の機会を与えることによって、一人
ひとりの人間に意思決定を迫る。自由の代価として責任を求める。
—-『断絶の時代』
● 根源的
ある物事を成立させる一番もとのものであるさま。
大もとであるさま。 根本的。
● 疎外
1. 嫌ってのけものにすること。「新参者を―する」
2. 人間がみずから作り出した事物や社会関係・思想などが、逆に人間を
支配するような疎遠な力として現出すること。また、その中での、人間が
本来あるべき自己の本質を喪失した非人間的状態。
● 代価
ある事柄を成し遂げるために生じた犠牲や損害。
「権利獲得のために支払った―」
□ 最初の仕事はくじ引き続き
最初の仕事はくじ引きである。最初から適した仕事につく確率は高くない。
しかも、得るべきところを知り、向いた仕事に移れるようになるには数年を
要する。
——『非営利組織の経営』
この続きは、次回に。