P.F.ドラッカー 「仕事の哲学」⑳
□ ともに働く人に伝える
自らの強み、仕事のやり方、価値観、果たすべき貢献を知ったならば、
それを誰に知らせなければならないか、誰に頼らなければならないか、
誰が自分に頼っているかを考える必要がある。
そして考えた結果を、それらの人たちに知らせる必要がある。
—-『明日を支配するもの』
□ 組織内の摩擦はなぜ起こるか
組織内の摩擦のほとんどは、たがいに相手の仕事、仕事のやり方、重視
していること、目指していることを知らないことに起因する。
問題は、たがいに聞きもせず、知らされもしないことにある。
—-『明日を支配するもの』
● 起因
ある事の起こる原因となること。「機械の未整備に―する事故」
□ 関係についての責任
組織は、もはや権力によっては成立しない。信頼によって成立する。
信頼とは好き嫌いではない。信じ合うことである。
そのためには、たがいに理解しなければならない。
たがいの関係について、たがいに責任をもたなければならない。
それは義務である。
—-『明日を支配するもの』
□ 強みを総動員せよ
成果をあげるには、人の強みを生かさなければならない。
弱みからは何も生まれない。
結果を生むには、利用できるかぎりの強み、すなわち同僚の強み、
上司の強み、自らの強みを総動員しなければならない。
——『経営者の条件』
□ おのれよりも優れた者に働いてもらう
鉄鋼王アンドリュー・カーネギーが自らの墓碑銘に刻ませた「おのれ
よりも優れた者は働いてもらう方法を知る男、ここに眠る」との言葉
ほど、大きな誇りはない。成果をあげるための優れた処方はない。
—–『経営者の条件』
● 墓碑銘
墓碑に刻んだ、死者の経歴や事績などについての文章。墓銘。
□ 上司をマネジメントする方法
上司をいかにマネジメントするか。実のところ、答えはかなり簡単である。
上司の強みを生かすことである。
—–『経営者の条件』
□ 上司と信頼関係を築くには
上司をマネジメントするということは、上司と信頼関係を築くことである。
そのためには、上司の側が、部下が自分の強みに合わせて仕事をし、弱みや
限界に対して防御策を講じてくれるという信頼をもてなければならない。
—-『未来企業』
□ いかなる順序で上司に示すか
上司の強みを生かすには、問題の提示にしても、何をではなく、いかにに
ついて留意しなければならない。何が重要であり何が正しいかだけでなく、
いかなる順序で提示するかが大切である。
—–『経営者の条件』
● 留意
ある物事に心をとどめて、気をつけること。「健康に―する」「―点」
□ 上司の成果をあげさせるのは簡単
誰もが他人については専門家になれる。本人よりもよくわかる。
したがって、上司に成果をあげさせることはかなり簡単である。
—–『経営者の条件』
□ 上司を不意打ちに合わせてはならない
不意打ちから上司を守ること、喜ばしい不意打ちからも上司を守ることが、
部下たる者の仕事である。自らに責任のあることについて不意打ちに合わ
されることは、傷つけられ、恥をかかされることである。
—-『未来企業』
● 不意打ち
だしぬけに相手に攻撃をしかけること。予告なしに物事を行うこと。
「―を食らわす」「―の試験」
この続きは、次回に。