ピーター・F・ドラッカー「経営者の条件」⑬
IE(インダストリアル・エンジニアリング)や品質管理など肉体労働者の
仕事を測定評価するための手法は、知識労働者には適用できない。
不適切な製品のために美しい設計図を大量に生産するエンジニアリング
部門ほど、ばかばかしく、非生産的な存在はない。
知識労働者が成果をあげるには適切な仕事に取り組まなければならない。
そのような仕事は、肉体労働のために開発した手法では測定できない。
知識労働者を直接あるいは細かく監督することはできない。
彼らには助力を与えることができるだけである。
知識労働者は自らをマネジメントしなければならない。
自らの仕事を業績や貢献に結びつけるべく、すなわち成果をあげるべく
自らをマネジメントしなければならない。
先日『ニューヨーカー』に出ていた漫画がある。
ドアにはエイジャックス石けん会社チャールズ・スミス販売部長とあり、
壁には「考えよ」との大きな額が掛かっている。事務所の中では、男が
机の上に足を投げ出し、天井に向かってタバコの煙の輪をつくっている。
通りがかりの二人の男が、「本当に石けんのことを考えているのか、
わからんな」と話している。
知識労働者が何を考えているかは確かめようがない。だが考えることこそ
知識労働者に固有の仕事である。考えることが彼らのなすべきことである。
しかもその動機づけは、成果をあげることができるか否かにかかっている。
彼自身が物事を達成できるか否かにかかっている。
成果をあげられなければ仕事や貢献に対する意欲は減退し、九時から五時
までただ体を動かしているだけとなる。
知識労働者は、それ自体が独立して成果となるようなものを生み出さない。
溝、靴、部品などで物的な生産物は生み出さない。知識労働者が生み出す
のは、知識、アイデア、情報である。それら知識労働者の生産物は、
それだけでは役に立たない。それらのものが意味をもつためには、他の
知識労働者がインプットとして使い、何らかのアウトプットを生み出して
くれなければならない。いかに膨大な知識であっても、行動と姿勢に反映
されなければ意味がない。したがって知識労働者は、肉体労働者が行う
必要のないことを行うことが必要となる。すなわち、成果をほかの人間に
供給することである。靴のように、自らの生産物それ自体の効用をあてに
するわけにいかない。しかもいまや知識労働者は、アメリカ、ヨーロッパ、
日本など高度の先進社会が、国際競争力を獲得し、維持するための唯一の
生産要素である。
これは、特にアメリカについていえる。アメリカが国際競争力を持ちうる
唯一の資源が教育である。アメリカの教育は理想にはほど遠い。
しかし、他の貧しい国より遥かに進んでいる。教育は、最も高価につく
投資である。自然科学の博士号には、一人につき一○万ドルから二○万
ドルの社会投資を必要とする。専門的な資格なしに卒業してくる大学生
さえ五万ドル以上の社会投資を必要とする。
そのようなものは、きわめて豊かな社会でなければ手に入れられない。
したがって、教育は、知識労働者の生産性さえ確保できれば、最も豊かな
国であるアメリカが真の優位性をもちうる唯一の領域である。
そして知識労働者の生産性とは、なすべきことをなす能力のことである。
成果をあげることである。
● 知力
知恵の働き。知的な能力。「―体力ともにすぐれる」
● 体系的
系統的。統一的。「―な研究」「―にまとめる」
● 系統的
順序立って組み立てられているさま。「―な指導」
● 寓話
擬人化した動物などを主人公に、教訓や風刺を織りこんだ物語。
「イソップの―」
● 擬人化
人間でないものを人間に見立てて表現すること。「動物を―した童話」
● セオドア・ローズヴェルト
セオドア “テディ”・ルーズベルト(英語: Theodore “Teddy”
Roosevelt、[ˈθiːəˌdɔːɚ ˈɹoʊzəˌvɛlt][3][4][5]、1858年10月27日 – 1919年
1月6日)は、アメリカ合衆国の軍人、政治家、第25代副大統領および
第26代大統領。姓はローズベルト、ローズヴェルトとも表記される[6][7]。
第32代大統領フランクリン・ルーズベルトは五従弟(12親等)に当たり、
またフランクリンの妻エレノアは姪にあたる。セオドア・ルーズベルトは
その精力的な個性、成し遂げた業績と合衆国の利益、国の発展期に示した
リーダーシップと、「カウボーイ」的な男性らしさでよく知られる。
共和党のリーダー、および短命に終わった進歩党の創設者であった。
また政治家としての業績と同じくらい、軍人、作家、ハンター、探検家、
自然主義者としての名声も併せ持つ。
有名な人形「テディ・ベア」の名前の由来はルーズベルト大統領の
「テディ」にあたる。
この続きは、次回に。