ピーター・F・ドラッカー「経営者の条件」㊼
知識ある者は理解されるように努力する責任がある。
素人は専門家を理解するために努力すべきである、あるいは専門家は
専門家と通じれば十分であるなどとすることは、野卑な傲慢である。
大学や研究所の内部においてさえ、残念ながら今日珍しくないそのような
風潮は、彼ら専門家自身を無益な存在とし、彼らの知識を学識から卑しむ
べき衒学に貶めるものである。貢献に責任をもつためには、自らの産出物
すなわち知識の有用性に強い関心をもたなければならない。
成果をあげるにはこのことを知らなければならない。
顔を上に向けることによって、ほとんど無意識に、他の人が何を必要とし、
何を見、何を理解しているかを知ることができる。
さらには組織内の人たち、つまり上司、部下、そして他の分野の同僚に
対し、「あなたが組織に貢献するためには、私はあなたにどのような貢献を
しなければならないか」「いつ、どのように、どのような形で貢献しな
ければならないか」を聞けるようになる。
● 野卑(やひ)
言動が下品でいやしいこと。また、そのさま。「―な言葉遣い」
● 傲慢(ごうまん)
おごりたかぶって人を見くだすこと。また、そのさま。「―な態度」「―無礼」
● 卑しむ(いやしむ)
下品な、とるに足りないものとして見下げる。軽蔑する。さげすむ。
「自分自身を―・める行い」
● 衒学(げんがく)
《pedantry》学問や知識をひけらかすこと。ペダントリー。
● 貶める(おとしめる)
1. 劣ったものと軽蔑する。さげすむ。見下す。
「人を―・めるような言い方をする」
2. 下落させる。成り下がらせる。「社名を―・める行為」
● 有用性
「有用性」の一般的な意味
「有用性」の意味は「役立つ傾向。有効に機能する性質」です。
何かをするにあたってその事が役に立つ、使いやすいことを表します。
「有用性」は「役に立つ」という意味の「有用」と、「名詞に伴って、
その性質や傾向を持つこと」を表す「性」が付くことによって、「有益な
性能を持つ性質」という意味になります。
この続きは、次回に。