ピーター・F・ドラッカー「経営者の条件」㊿+36
劣後順位第一位を決定することは、楽しいことではない。
誰かにとってはそれが優先順位第一位であるに違いないからである。
優先事項を列挙し、そのすべてに少しずつ手をつけることによって弁解の
余地をつくっておくほうがはるかに容易である。みなを満足させられる。
もちろんこの方法の唯一の欠陥は、何事もなされないという結果に終わる
ことである。
優先順位の分析については多くのことがいえる。
しかし優先順位の決定について最も重要なことは分析ではなく勇気である。
優先順位の決定は、いくつか重要な原則がある。
すべて分析ではなく勇気に関わるものである。
第一に、過去ではなく未来を選ぶ。
第二に、問題ではなく機会に焦点を合わせる。
第三に、横並びではなく独自性をもつ。
第四に、無難で容易なものではなく変革をもたらすものを選ぶ。
科学者についての分析の多くが、少なくともアインシュタイン、ニールス・
ボーア、マックス・プランクなどの天才は別として、科学的な業績は、
研究能力よりも機会を追求する勇気によって左右されることを教えている。
挑戦の大きなものではなく容易に成功しそうなものを選ぶようでは、
大きな成果はあげられない。膨大な注釈の集まりは生み出せるだろうが、
自らの名を冠した物理の法則や新たなコンセプトは生み出せない。
大きな業績をあげる者は、機会を中心に研究の優先順位を決め、他の要素は
決定要因ではなく制約要因にすぎないとする。
● 列挙
並べあげること。一つ一つ数えあげること。「問題点を―する」
● 弁解の余地がない
全く言い訳・言い逃れできない、あるいは、どのような非難・叱責をも
甘んじて受ける、と述べる言い回し。 「弁解」は言い訳(説明による
正当化)を意味する語、「余地」は事をなし得るだけの余裕・ゆとりを
意味する語。
● ニールス・ボーア
ニールス・ヘンリク・ダヴィド・ボーア(デンマーク語: Niels Henrik
David Bohr[1]、1885年10月7日 – 1962年11月18日)は、デンマークの
理論物理学者[2]。量子論の育ての親として、前期量子論の展開を指導、
● マックス・プランク
マックス・カール・エルンスト・ルートヴィヒ・プランク(Max Karl
Ernst Ludwig Planck, 1858年4月23日 – 1947年10月4日)は、ドイツの
物理学者である。
● 注釈
語句の意味や用法を解説したり、補足的な説明を加えたりすること。
また、その説明。「専門用語を―する」「―書」
● 決定要因
● 制約
ある条件や枠をもうけて、自由な活動や物事の成立をおさえつけること。
また、その条件や枠。「法律上の―を受ける」「時間に―される」
● 要因
物事がそうなった主要な原因。「事件の―を探る」
この続きは、次回に。