P・F・ドラッカー「創造する経営者」㉞
(2) 明日の主力製品
これこそ全ての製品がそうであってほしいものである。あらゆる企業が、
この類型の製品を少なくとも一つはもたなければならない。だが残念ながら、
会社発表のリリースや銘柄推奨リポートが宣伝するほど多くはない。
ユニバーサル・プロダクツ社の場合には、一○の製品のうちCとDの二つが
明日の主力製品の候補となります。
しかし明日の主力製品は、明日の約束であるとともに、今日すでに大きな
実体である。今日すでに利益のある大きな市場をもち、受け入れられて
いなければならない。製品に手直しをしなくとも大きな成長が待って
いなければならない。
明日の主力製品の貢献利益と貢献利益係数はすでに高い。実のところ、
通常は必要以上に高くなってしまっているものである。
必要以上というのは、業績がきわめてよいために支援の必要がないと
思われてしまうからである。明日の主力製品の力をフルに発揮させるために
必要な資源が、昨日の主力製品や独善的製品に振り向けられてしまって
いるのである。
これこそ、問題児を養うために機会を飢えさせる典型である。
明日の主力製品こそ追加資源の見返りが最も大きな製品である。
明日の主力製品が本当に餓死させられることがある。あるいはまた、
きわめてしばしば、明日の主力製品は生み出されるだけで育てる努力が
行われないことがある。その結果せっかくつくった市場に競争相手が進出し、
耕作や種蒔きをせずに収穫だけしていってしまう。
追加の支援を受けないならば、表5の製品Dがこの運命をたどることに
なる。
(3) 生産的特殊製品
これは限定された特殊な市場を持つ製品である。真の機能をもち市場で
リーダーシップをもつ。製品別純利益はかなり大きい。
コストはかなり低い。資源もあまり使われていない。量産品の副産物的な
存在である。ユニバーサル・プロダクツ社の製品Eが、やがてこの類型の
製品となる。
この続きは、次回に。