P・F・ドラッカー「創造する経営者」㊼
コスト分析は、企業を外部から見るマーケティング分析によるチェックが
なければ、信頼できる意味あるものとはならない。
コスト分析だけでは部分的な分析でしかない。
事実最も成功している企業の中には、外部コストの管理を成功の鍵にして
いるところがある。
そのよい例として、流通において成功を収めているイギリスのマークス・
アンド・スペンサーと、アメリカのシアーズ・ローバックがある。
いずれも、その成功は、優れたメーカーを見つけ、それらメーカーのために
製品と生産工程を開発し、かつ製品のコストを指定したことにある。
いずれもその法的な枠組みの範囲を超え、コスト、製品、工程について
積極的な責任を負っている。
同じように、GMの成功の大きな部分は、独立系ディーラーのコストに
働きかけを行ったことによる。IBMの成功の大きな部分も、コンピュータを
生産的に使えるよう顧客の事務の合理化に取り組んだことによる。
したがって、コスト管理のためには次のようなコスト分析が必要である。
● 大きなコストが発生しており、効果的なコスト削減が大きな成果を
あげるコストセンターを見つける。
● 主たるコストセンターにおける重要なコストポイントを見つける。
● 事業全体をコストの流れとして見る。
● コストを法律上あるいは税制上の主体別に発生するものではなく、
顧客が支払うものとして定義する。
● コストを基本的な特性によって分類し分析する。
この続きは、次回に。