P・F・ドラッカー「創造する経営者」㊿-96
第14章❖業績をあげる
○ 業績をあげるための三つの能力
企業家的な計画を実現し、業績をあげるには、次のようなマネジメントの
能力が必要である。
● 企業家的な計画を、特定の人間が責任をもつべき仕事に具体化する。
● 企業家的な計画を、日常の仕事に具体化する。
● 一人ひとりの人間の職務と組織の精神の中心に、業績を捉える。
○ 仕事を計画する
業績をあげるための統合された全社的な計画だけでなく、具体的な仕事の
ための統合された全社的な計画が必要である。
もちろん、仕事のための計画の基礎となるものは、事業の定義と目標に
ついての意思決定であり、自らの卓越性、優先順位、戦略についての
意思決定である。
それらの意思決定から、最初にいくつかの目標を明らかにしなければ
ならない。「いかなる成果が必要か。どこで必要か。いつまでに必要か」。
次に、必要とされる活動を検討し、評価しなければならない。
また割り当てるべき資源を選択しなければならない。
さらに、それらの活動を具体的な仕事として誰かに割り当てなければ
ならない。あげるべき成果を誰かが責任をもつべき仕事としなければ
ならない。そしてこの仕事の割り当てが意味をもつためには期限を
定めなければならない。期限のない仕事は割り当てられた仕事では
なく、もてあそばれる仕事にすぎない。
特に知識労働については特別の注意が必要である。
知識労働には、分析や方向づけ、焦点のはっきりした行動計画が必要で
ある。通常、機械を使う者が何をすべきかは明確にして単純である。
しかし机で仕事をしている営業部長は、何でもすることができる一方、
何もしていないかもしれない。何も進歩していないかもしれない。
にもかかわらず、知識労働について十分に検討し、意識的に方向づけを
行っている企業はごくわずかしかない。
この続きは、次回に。