『成しとげる力』⑩
○ 飯を食わしてくれる人に人はついていく
さて、ここからはリーダーとして人を率いていく人、またこれから
リーダーとして活躍していきたい人たちに向けて書いてみたいと思う
が、そもそもリーダーとしての資質とは何だろうか。
人についていきたいと思わせるものは何なのか。
例えば、戦国武将を思い浮かべてみよう。
鍵を握るのが「この人についていったら飯が食えるのではないか」と
いう魅力だ。したたかさであり、頼もしさだ。
世の中、いくら高尚な理想をぶち上げたところで、それだけでは人の
気持ちはつかめない。人の心を引きつけることはできないのである。
肝心なことは、極限するなら生きるために食べていけるかどうかにある。
人は、最終的には「飯を食わしてくれる」かどうかで、この人について
いこうかどうかを判断するものである。
人を雇い続けるというのは、生活を保障するということ。
いい換えれば、「飯を食わせる」ことである。
その代わり、しっかりと働いてもらうのが絶対条件である。
○ 先人を切って敵陣に突っ込むのがリーダー
リーダーは何があっても、信じてついてきてくれる人たちを路頭に
迷わせてはならない。会社の社長であれば、絶対に会社をつぶしては
ならないのだ。そのために戦う覚悟と勇気をもって、自らが率先して
集団の先頭に立っていく。それがリーダーなのである。
これからどんどん会社を大きくしていこうとする、その闘いの中で、
自分だけが部屋の中でぬくぬくと座って、外回りの営業を人任せに
しているわけにはいかない。
これは会社が大きくなっても同じである。ハードルが低く、簡単な仕事は
「お前がやれ」と部下に任せ、困難な仕事は「私がやる」といって、
率先して引き受ける。これこそが組織のトップのあるべき姿だ。
その勇姿を見て、初めて部下は「この人についていこう」と、心から
命令に従うようになるのだ。トップが部屋に閉じこもって、机にしがみ
ついているようでは、組織に未来はない。
本来は、十年ぐらいは一つの会社のトップを務めるのがよいのだ。
十年間、会社の業績を維持することができれば、相当の経営力がある
証拠だ。
十年の間には問題も起こるし、苦境も経験することだろう。
しかし、春夏秋冬が十回めぐる頃には、たいていの問題は一巡する
ものだ。その間の失敗や挫折が糧になって、どんな問題でも解決する
ための方法が身につくのだ。
十年間は辛抱するという強さをもってもらいたい。
とくにトップはそれぐらいの強さがないと、会社を安定して経営して
いくことはできないのだ。
この続きは、次回に。