『成しとげる力』㉑
有名な寓話だが、カエルを熱湯に入れると驚いて飛び出すが、常温の
水に入れて徐々に熱するとどうなるか。カエルは温度変化に慣れていき、
危険に気づいたときはすでに遅く、ゆで上がって死んでしまう。
まわりを見回してみると、そのような〝ゆでガエル人間〟のなんと多い
ことか。もしかしたら自分もそのなかに含まれているのではと、つねに
反省する日々である。
では、ゆでガエルになってしまうのはどんな人間か。
その特徴は「マンネリ・あきらめ・怠慢・妥協・おごり・油断」の
〝六悪〟に集約できる。
すなわち、「工夫もせずに前例踏襲ばかりをくり返してはいないか
(マンネリ)」「挑戦せずに望みを捨ててはいないか(あきらめ)」
「やるべきことを疎かにしてはいないか(怠慢)」「『これくらいで
いいや』と手を抜いていないか(妥協)」「他人の意見に謙虚に耳を
傾けているか(おごり)」「気が緩んで再三、ミスを犯してはいないか
(油断)」という六つの要素である。
この六悪という病理現象は、順風満帆のときほど蔓延しやすいので
厄介である。会社でいえば、製品のシェアが九十パーセント以上に
なると、その兆候が見え始める。競争相手がいなくなると気が緩み、
緊張感がなくなるのだ。頂点を極めたビジネスにいつまでもしがみ
ついていれば、必ず会社は自滅する。
「脱皮しないヘビは死ぬ」ということわざどおり、まわりの変化に
先行して自己変革しなければ、あっというまに「負け組」に入って
しまう。そのことを自戒すべきである。
生き残れるのはもっとも強い者でも、もっとも賢い者でもない。
変化できる者だけなのである。
● 社是
社是とは、企業経営をしていくうえでの基本方針のこと。
「是」=「正しい」という意味から、会社が「正しい」と考える在り方を
言葉にしたものだと言えます。
社是に似た言葉として「経営理念」や「社訓」「ミッションステート
メント」などがありますが、明確に違いを理解できていない方も多い
のではないでしょうか。
● 前例踏襲(ぜんれいとうしゅう)
「前例踏襲」という言葉は、これまでのやり方(前例)をそのとおりに
やる(踏襲)という意味です。2021/10/06
● 順風満帆(じゅんぷうまんぱん)
「順風満帆」は「順風(追い風)を帆いっぱいにはらむこと。
転じて物事がすべて順調に運ぶこと。ことが非常にうまく進むこと。
その様子」を意味します。2013/08/01
● 自戒
「自戒」は、自分自身をいましめ律することをいう。
この続きは、次回に。