「道をひらく」松下幸之助 ②
道をひらく 松下幸之助
The Path
Everyone has a unique path to follow, one that is ordained by Heaven
道
誰もが従うべき独自の道を持っています。
それは天によって定められたものです。
自分には
自分に与えられた道がある
広い時もある
せまい時もある
のぼりもあればくだりもある
思案にあまる時もあろう
しかし 心を定め
希望をもって歩むならば
必ず道はひらけてくる
深い喜びも
そこから生まれてくる
まえがき
本書は、PHP研究所の機関紙「PHP」の裏表紙に、これまで連載して
きた短文の中から、百二十一篇を選んでまとめたものである。
その一篇一篇は、時にふれ折にふれての感慨をそのまま綴ったもので
あるが、この中には、身も心もゆたかな繁栄の社会を実現したいと願う
私なりの思いを多少ともこめたつもりである。
一国民、一庶民としての私のこの思いが、何らかのご参考になるならば
望外の幸せである。
昭和四十三年五月
松下幸之助
● 望外
望んでいた以上に良いという喜びですから、この上ない喜び、天にも
昇る気持ち、恐悦至極、といった非常にうれしい気持ちを表しています。
2018/05/31
目次
まえがき
○ 運命をきりひらくために
・道
自分には自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。
どんな道かは知らないが、ほかの人には歩めない。
自分だけしか歩めない、二度と歩めぬかけがえのないこの道。
広い時もある。せまい時もある。のぼりもあればくだりもある。
坦々とした時もあれば、かきわけかきわけ汗する時もある。
この道が果たしてよいのか悪いのか、思案にあまる時もあろう。
なぐさめを求めたくなる時もあろう。しかし、所詮はこの道しかない
のではないか。
あきらめろと言うのではない。いま立っているこの道、いま歩んでいる
この道、ともかくもこの道を休まず歩むことである。
自分だけしか歩めない大事な道ではないか。
自分だけに与えられているかけがえのないこの道ではないか。
他人の道に心をうばわれ、思案にくれて立ちすくんでいても、道は少しも
ひらけない。道をひらくためには、まず歩まねばならぬ。
心を定め、懸命に歩まねばならぬ。
それがたとえ遠い道のように思えても、休まず歩む姿からは必ず新たな
道がひらけてくる。深い喜びも生まれてくる。
● 天与
天の与えるもの。天のたまもの。天賦。「―の資源に富む」
● 天賦
天から賦与されたもの。生まれつきの資質。
「―の才能」「運否 (うんぷ) ―」
● 賦与
配り与えること。分け与えること。「天から―された文才」
この続きは、次回に。