「道をひらく」松下幸之助 ④
・志を立てよう
志を立てよう。本気になって、真剣に志を立てよう。生命をかけるほどの
思いで志を立てよう。志を立てれば、事はもはや半ばは達せられたと
いってよい。
志を立てるのに、老いも若きもない。そして志あるところ、老いも若きも
ない。そして志あるところ、老いも若きも道は必ずひらけるのである。
今までのさまざまの道程において、いくたびか志を立て、いくたびか
道を見失い、また挫折したこともあったであろう。しかし道がない、
道がひらけぬというのは、その志になお弱きものがあったからでは
なかろうか。つまり、何か事をなしたいというその思いに、いま一つ
欠けるところがあったからではなかろうか。
過ぎ去ったことは、もはや言うまい。かえらぬ月日にグチはもらすまい。
そして、今まで他の頼り、他をアテにする心があったとしたならば、
いさぎよくこれを払拭しよう。大事なことは、みずからの志である。
みずからの態度である。千万人といえども我ゆかんの烈々たる勇気で
ある。実行力である。
志を立てよう。自分のためにも、他人のためにも、そしておたがいの
国、日本のためにも。
● 志
1. ある方向を目ざす気持ち。心に思い決めた目的や目標。
「―を遂げる」「事、―と異なる」「―を同じくする」
「青雲の―を抱く」
2. 心の持ち方。信念。志操。「―を高く保つ」
● 道程
1. ある地点に着くまでの距離。みちのり。行程。「一日の―」
2. ある境地・状態になるまでの時間。過程。「完成までの―」
● 烈々
勢いの激しいさま。「―と燃え上がる火」「―たる士気」
この続きは、次回に。