「道をひらく」松下幸之助 ㊿+4
・同じ金でも
同じ金でも、他人からポンともらった金ならば、ついつい気軽に使って
しまって、いつのまにか雲散霧消。金が生きない。金の値打ちも光ら
ない。
同じお金でも、アセ水たらして得た金ならば、そうたやすくは使えない。
使うにしても真剣である。慎重である。だから金の値打ちがそのまま
光る。
金は天下のまわりもの。自分の金といっても、たまたまその時、自分が
持っているというだけで、所詮は天下国家の金である。その金を値打ち
もなしに使うということは、いわば天下国家の財宝を意義なく失ったに
等しい。
金の値打ちを生かして使うということは、国家社会にたいするおたがい
社会人の一つの大きな責任である。義務である。そのためには、金は
やはり、自分のアセ水たらして、自分の働きでもうけねばならぬ。
自分のヒタイのアセがにじみ出ていないような金は、もらってはならぬ。
借りてはならぬ。
個人の生活然り。事業の経営然り。そして国家の運営の上にも、この
心がまえが大事であろう。
● 雲散霧消
雲が散り霧が消え去るように、あとかたもなく消えてなくなること。
● 汗水垂らして
多量の汗を体から滴らせているさま。一生懸命働く様子を表して言う
ことが多い。2012/07/20
● 金は天下のまわりもの
この言葉は一般的に、世の中は浮き沈みが激しいので、お金持ちが
手にしているお金は永遠ではないという意味で使われています。
これが転じて、ケチケチしても意味がない、さらには浪費癖のある人
なら「パッと使ってしまえ」というニュアンスで使われることも多い
ようです。
この続きは、次回に。