「道をひらく」松下幸之助 ㊿+32
○ 国の道をひらくために
・国の道
人はさまざま。だからさまざまの人生があり、さまざまの人の歩む道が
ある。そのいずれの道であろうとも、たとえそれがひっそりとした道で
あろうとも、それぞれの道をそれぞれにきりひらいてゆくことは、決し
て容易ではない。人おのおの精いっぱいの心根がそれぞれにこもねば
ならない。ボンヤリしていては道はひらけぬ。他人まかせでは道はひら
けぬ。
しかし、もっと容易でないのは、いわゆる国として、国家としての道を
きりひらいてゆくことではなかろうか。
いかにわが道をひらく精進を重ねても、国としての道がひらけていか
なければ、所詮はそれぞれ砂上の楼閣。誰かが何とかしてくれるだろう
では、誰も何ともしてくれない。
人の歩む道も国の歩む道も結局同じことではなかろうか。ボンヤリして
いては道はひらけぬ。他人まかせでは道はひらけぬ。つまりは、われ
他人とともに懸命に考えて、わが道をひらく如くに、国の道をひらか
ねばなるまい。
そうしなければならないのが民主主義で、またそれができるのも民主
主義なのである。おたがいに三省してみたい。
● 砂上の楼閣
「砂上」は砂の上こと、「楼閣」は高層の立派な建物を指す言葉だ。
崩れやすい砂の上に建てられた高い建物は容易に倒壊してしまうこと
から、「見かけは立派だが、基礎がしっかりしていないため、すぐに
崩れてしまいそうなもの」「不安定で移ろいやすいもの」の例えとして
使用される。2021/06/10
● 三省
人の為に謀りて忠ならざるか、朋友と交わりて信ならざるか、習わざる
を伝えしかと」から》毎日三度反省すること。 1日に何度も自分の言行
をふりかえってみて、過失のないようにすること。 さんしょう。
この続きは、次回に。