お問い合せ

続「道をひらく」松下幸之助 ㉙

● 定めなき日々に

 

人の世は定めなきものとは言いながら、どうにも昨今の世の中は、ま

ことに定めなく日々にゆれ動く。ゆれ動くのも一つの進歩の姿ではあ

るけれど、定めなくゆれ動くのは、あてどもなくさまようにひとしい。

だからこそ、人は不安におちいる。これからどうなるのか。

先々どうなってゆくのか。

老いた人はわが老いゆく先に不安をおぼえ、若い人は定めきれぬ明日

への道に焦燥を感じる。一家団らんのなかにも、育ちゆくこどもたち

の行く末に、希望と不安が入りまじる。

人それぞれに、人それぞれの思いをこめて、あれこれと案じはするけ

れど、しょせんは案じきれない人の世である。この世の中である。

先は先にまかせよう。ともかくも大事なことは、わが足もと、今日

ただ今の出発点に誤りなきかを、自他ともに素直に反省することで

ある。

その反省が刻々につみ重ねられ、今日ただ今の出発点が刻々に正され

てゆくならば、一歩一歩の安心の道が必ずひらけてくる。

先の先を案ずるよりも、まず今日ただ今の素直な反省が求められるの

である。

 

● 焦燥

 

いらいらすること。あせること。「事業の失敗に―する」「―感」

 

 

この続きは、次回に。

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