「心に残る言葉」-第四回目「隗より始めよ」
第四回目
新聞を読んでいて、ある経営者の方が言っていた座右の名「隗(かい)より始めよ」
初めて聞いた言葉の為、興味を持ち、インターネットで調べて見ました。
□ 座右の銘は、「隗(かい)より始めよ」
物事は言い出した者から始めよ、という意味です。
人にあれこれ言う前にまず自分でやって見せる。
「先づ隗より始めよ(先従隗始)」の読み方と格言 「先従隗始』から生まれた格言は
『隗より始めよ』。読み方は、「まづ かいより はじめよ」と読む。
その意味は「言い出した者から実行せよ」で、物事を行うときは、まず身近なことから
始めるべき、という教えになっている。
【まず隗(かい)より始めよ】とは中国の十八史略に
由来する言葉|意味や使い方てをマスターしよう
「まず隗より始めよ」とは手近なところから作業などを始める、あるいは言い出した人から
仕事を始めることを意味する言葉です。何に由来する言葉なのか、どのように使うのか例文を
使ってみていきましょう。また、類語についてもご紹介します。
「まず隗(かい)より始めよ」とは手近な場所から始めると
いう意味
「まず隗より始めよ」とは、壮大な事業であっても、まずは手近なところから始めるべきだと
いうことを意味する言葉です。例えば世界平和を目指す場合でも、まずは日本の平和、その前に
学校や会社などの組織の平和などを実現する必要があるでしょう。
さらに身近なところでは、夫婦や兄弟、親子などの家庭から平和を実現することができます。
そのような手近なところが平和になって初めて、より大きな単位の平和が実現するでしょう。
□ 【隗より始めよ】かいよりはじめよ
大事業をするには、まず身近なことから始めよ。また、物事は言い出した者から始めよという
こと。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
□ 「言い出した人から仕事を始める」の意味でも用いる
「まず隗より始めよ」という言葉は、言い出した人から仕事をするという意味でも用います。
例えば、「しっかりと挨拶することが大切だ」と先生がどんなに言っても、先生自身が挨拶を
しないのであれば生徒は挨拶を積極的にしようとしないでしょう。先生自身が元気に挨拶する
手本を見せ、生徒が自然と真似できる環境を作る必要があります。
□ 「隗より始めよ」と表現することもある
「まず」という言葉をつけず、単に「隗より始めよ」と表現することもあります。
辞書でも「隗より始めよ」で載っていることが多いです。
意味は「まず隗より始めよ」と同じで、大事業をするときは手近なところから始めること、
あるいは、何でも言い出した者から始めるべきだということを指します。
使い分ける必要はありませんが、語調が滑らかになるように注意することはできるでしょう。
□ 類語は「死馬の骨を買う」「千里の道も一歩から」
似た意味の言葉に「死馬の骨を買う」があります。死んだ馬の骨は何の役にも立ちません。
しかし、役に立たないものにお金を出して価値をつけることで、本当に価値のある大切なものも
集まりやすくなるという意味です。
「まず隗より始めよ」も、元々は隗(郭隗:かくかい)という名前の凡庸な人が、「私のような
凡庸な人間を優遇すれば、その評判が広がり、本当に有能な人が集まってきますよ」と燕の国の
王(昭王)に進言した言葉を由来としています。本当に有能な人を集めるために、あえて凡人を
優遇したり、死馬の骨にお金を出したりすることが必要と隗は考えたのです。
□ 死馬の骨を買うを例文で解説
「死馬の骨を買う」を、いくつかの例文を通して使い方を見ていきましょう。
・うちの会社は【死馬の骨を買う】方式で優秀な人材を集めている。私のような凡人にでも
平均以上に給料が支払われているから、優秀な人はさらに高額な報酬を求めてやってくる
ようだ。
・セザンヌの絵が好きな彼は、セザンヌのものであれば例えデッサンでも高額な価格で買い
取っている。【死馬の骨を買う】ではないけれど、そうこうしているうちにセザンヌの作品の
中でも世界トップクラスの良作に出会えたようだ。
□ ほぼ同義で使用できる「千里の道も一歩から」
また「千里の道も一歩から」とは、どんなに大きな事業でも手近なところから始まるという
意味です。「隗より始めよ」とほぼ同義で利用できます。
□ 【千里(せんり)の道(みち)も一歩(いっぽ)から】
遠い旅路も第一歩から始まる。どんな大事業も手近なところから始まることのたとえ。
千里の道も一歩より起こる。
気の遠くなるような大きな目標であっても、一歩ずつ着実に進んでいくことの大切さを説く
ことわざとして、座右の銘にしている方も多いです。
「千里の道も一歩」という言葉は、老子が説いた教えに由来を持っています。
「まず隗より始めよ」は十八史略のエピソードに由来する
「まず隗より始めよ」という言葉は、中国の歴史を記した読み物『十八史略(じゅうはち
しりゃく)』で紹介されているエピソードに由来します。
昔、燕の国の昭王が郭隗にどうしたら優れた人材が集まるのかと尋ねました。
そのとき、郭隗は、「自分のような凡庸な人間を重用すれば、より才能がある人材が『ここ
なら自分を高く評価してくれるに違いない』とやってくるでしょう」と答え、王にまずは自分
(隗)を重用することを勧めたと言われています。
□ 漢文では「先従隗始」
「まず隗より始めよ」は、漢文では「先従隗始」と表記します。従と隗の間にレ点を入れて、
先は「先ず(まず)」、従は「~より」と読み下しましょう。
「先(ず)隗(より)始(めよ)」となります。
□ 「死馬の骨を買う」も同じ十八史略のエピソード
「死馬の骨を買う」も、同じく燕の国の昭王と郭隗のエピソードに基づきます。
郭隗が「まず隗より始めよ」という前に、あるたとえ話をしました。
たとえ話の中で、ある王様が家来に「千里を走るような名馬を買ってこい」と命じ、多額の
お金を渡します。しかし、家来は名馬を買わず、死んだ馬の骨を500金という高額なお金を
支払って戻って来ました。
王様は家来をひどい剣幕で叱りますが、家来は「死んだ馬の骨でさえ500金という高額な
お金を払ったのですから、生きている名馬を持っている人はさらに高額なお金をもらえると
思ってすぐにやってきますよ」と言います。実際にすぐに名馬を持っている人がやってきて、
王様は遠くまで尋ね歩かなくても名馬を3頭も手にすることができました。
隗はこの話を例に挙げ、手近にいる自分を優遇することで、わざわざ遠くまで賢者を探しに
行かずとも、自分からやってくると昭王に伝えます。そして、実際に賢者は続々と燕の国に
集まったのです。
「 隗より始めよ」の使い方と例文
「隗より始めよ」は、類似表現の「千里の道も一歩から」に比べると使用頻度が低い傾向が
あります。しかし、何か目標を達成しようとする際に、まずは目の前の課題に取り組むことを
すすめるシーンは、意外に日常生活のなかでも多いです。
「隗より始めよ」を使ってアドバイスができれば、周りの人からも一目置かれる存在になれるか
もしれません。使い方のポイントと例文をご紹介します。
□ 格言やアドバイスとして使う
「隗より始めよ」は、ビジネスシーンで大きなプロジェクトに取り掛かるタイミングで、同僚を
勇気づける一言としても使えます。プライベートであれば、重要な試験に挑む友人の背中を押す
際にも役立つでしょう。
また、他人だけではなく自分を奮い立たせる座右の銘としての用法もあります。
大きな挑戦を控えている人にとって、「隗より始めよ」は心に刻んでおきたい言葉です。
□ 「隗より始めよ」を使った例文
「隗より始めよ」の例文を確認し、自然に使いこなせるようにしましょう。
【例文】
・【隗より始めよ】の精神で、膨大な数の過去問題に取り組みはじめた。
・やる前から諦めずに、挑戦してみてください!何事も【隗から始めよ】ですよ。
・提案した私が最初に試してみます。【隗より始めよ】といいますからね。
「まず隗より始めよ」の意味と由来を正確に理解しておこう
「まず隗より始めよ」とは、大きなことをいきなり始めるのではなく、手近なところから始め
ようという意味で使われます。また、言い出した人がするべきだの意味でも使われるので、覚え
ておきましょう。
「隗より始めよ」という言葉だけでなく、その由来も知っていると理解が広がります。
昭王と郭隗のやり取りを覚え、「隗より始めよ」と「死馬の骨を買う」「千里の道も一歩から」を
セットで覚えてください。
私が一番印象に残った言葉は、
1. 物事は言い出した者から始めよ。
2. 人にあれこれ言う前にまず自分でやって見せる。
3.大きなことをいきなり始めるのではなく、手近なところから始めよう。
「隗より始めよ」を知ることにより、「夢の実現」に向けての指針の一つとなりました。
20204年1月30日
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美