今日の気づき-読売新聞「和食のロックンロール」を読んで ⑤
[時代の証言者]和食はロックンロール 村田吉弘<27>欠かせない節度と品位
2026/02/13 05:00
「したたかな京料理」をテーマにしたシンポジウムで、白和えの説明をする村田さん
(2025年9月、東京都内で)=杉本昌大撮影
新しい料理の可能性を探る活動を「日本料理アカデミー」ではしています。今は甲子園
大におられますが、京大にいた伏木亨先生が龍谷大に移られてからは、龍谷大と一緒に
研究活動を続けています。
昨年9月には東京で「したたかな京料理」と題したシンポジウムを開きました。
「飛竜頭(ひろうす)」「白和え」 「なます」「松風焼き」という四つの伝統的な料理を
選び、4人ずつ、計16人の料理人が研究者やメディアの人らの前で料理を披露します。
白和えでいえば、僕がオーソドックスな白和えを紹介し、ほかの3人が今の人らの口に
合うような進化版を作りました。
そのうちの一人、うちの息子が見せたんは、豆腐にマスカルポーネチーズとペースト状
にしたマカダミアナッツ、刻んだトリュフを加え、それで低温調理したホタテとカリフ
ラワーを和えたもの。最後にユズものせてある。地味なイメージの白和えを華やかに、
白ワインに合うようにしたといいます。色は白いけど、従来の白和えとは全然違うもの
が仕上がりました。
龍谷大とは以前、「日本料理の国境線」と題したシンポジウムをしたこともあります。
西洋料理の食材や調味料が増える中、料理はどこまでいったら日本料理じゃなくなるのか。
その境界線を見極めようというのがテーマでした。
《オックステールを使った料理やバターを使った真丈など、当日はふだん店では出さな
いような実験的な料理が披露された》
料理の国籍が何によって決まってくるのかというのが興味の対象やったんですけど、
これがなかなか難しい。議論して、最終的に残る香りが国籍を決めているんやないかと
いう話になりました。同じ煮魚を作っても、上にパクチーを置くとその香りでタイ料理
になるし、ユズをのせたらその香りで日本料理になる。そんな感じですね。
香りとは別に、節度と品位がなくなると日本料理としての形態を失うんやないかと僕自身
は感じています。
節度というのは出しゃばりすぎない抑制の利いた状態。品位というのはそれを維持する
ために出てくる緊張感みたいなもの。日本の芸術においても、食においても、それが
肝やと思っているんですよ。
茶器の 棗 で、表に満開の桜が描かれた棗より、真っ黒い棗のふたを開けなつめ蒔絵 で
ほどこされている方が春を感じるってこと、あるでしょうまきえ
(「菊乃井」三代目主人)
この続きは、次回に。
2026年3月7日
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美

