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1分間ドラッカー 抜粋&感想④

第4章「変化」に最速適応する言葉

 30 今日最も成功している製品は、明日には早くも陳腐化する。

    「モデルチェンジは売れている時にやれ」とは、ホンダの本田宗一郎氏の言葉だ。

    売れる勢いが落ちてからでは、せっかくのモデルチェンジも効果が薄れる。

    売れている時にやってこそ、さらなる顧客を開拓できるというのが本田氏の戦略だった。

      ライバルが、こちらをにらんで次々と新製品を投入してくることを忘れてはならない。

     陳腐化を前提として、たゆみない革新を続けてこそ、企業も人も成長できるのだ。

31   最強の企業も、未来に対する働きかけを行っていなければ、苦境に陥る。

     「頼るな、戻るな、恐れるな」とは、家業から出発して世界的スポーツ用品会社

      ヨネックスを創業した米山稔氏の言葉だ。

      明日は必ず来るし、明日は今日とは違うものになる。今日、何もしなければ、

     強い企業、大企業といえども、苦境に陥る。やがてリーダー的地位を失い、

     ブランドも製品力も、収益も、簡単になくしてしまう。しかも、膨大な間接費と

     いった負の遺産はかなかな無くならないのだ。

     新しいことに挑戦しないのは、リスクを避ける賢明な策ではない。やがて訪れる未来に

     対応できないという巨大なリスクを負う危険をはらんでいる。

32  真に重要なことは趨勢ではない。変化である。

    組織の中にいると、外の世界の現実は、組織の中の基準によって租借され、

    報告書という高度に抽象化されたフィルターを通してのみ知ることになる—

           とドラッカーは指摘する。

     意識的に外の世界を見て、変化を知覚することだ。すべての成果は組織の外にある。

     成果を左右する変化を知覚するのは、人間だけにできる大切な役目である。

33  変化を脅威ではなく、機会としてとらえなければならない。

    「変化を恐れず、変化を求めることが役員に必要な資質だ」とは、セコム創業者・

    飯田亮氏の持論だ。

    成果は機会から生まれる。組織の内と外に変化を見つけ、機会として使えるか

    どうかを考えることが大切だ—-とドラッカーはいっている。

34  目標が達成される時とは、お祝いをすべき時ではなく、定義を考え直すべき時である。

     目標に向かってひたすら励んでいる時は、人はがんばれるが、目標を達成したあとも

     がんばれるかどうかは案外難しい。

     事業の定義は、組織を掲げていた目標を達成した時に陳腐化する—ドラッカーは指摘する。

     事業の定義とは、① 我々の事業とは何か。 ② 我々の事業はどうあるべきか。の2点に

    集約されるだろう。

    企業には目標達成時や、企業規模の急拡大時など、事業の定義を見直す時がたびたび

    訪れる。事業の定義を守ることは大切だが、同時に、時が来たら柔軟に見直す必要がある。

 35   「我々の事業は何か」と真剣に問うべきなのは、むしろ成功している時である。

           改革は順調な時にやるのが一番いい。不調の時には、できることは自ずと限られる。

     成功している企業にとって、「我々の事業は何か」を問うことは簡単でない—とドラッカーは

     指摘する。

36   事業の定義は、石版に刻んだ碑文ではない。

         成功企業が失敗する原因は、官僚化や怠慢と共に、長年の成功を支えてきた事業の

    定義と現実との間に齟齬が生じていることが多い。

    パナソニック創業者松下幸之助氏の口癖は「日々新た」であったにもかかわらず、

    事業の定義や成功の方程式が「碑文」と化したのだ。

37   明日のマネジメントにあたるべき人間を、今日用意しなければならない。

          ドラッカーは、組織に働く者が行うべき貢献として、三つをあげている。

    ① 直接の成果

       たとえば売上や利益をあげることである。

    ② 価値への取り組み

       たとえばお客様のためによりよいものをつくることや、よりよいサービスを目指すと

       いった明確な目標である。

    ③ 人材の育成

       組織にとって人づくりほど大切なことはない。その大切さをドラッカーは、こう表現する。

       現在の世代は、明日のために次の世代を育てる。次の世代は、現在の世代が築きあげた

       ものをベースとしながらも、その次の世代に向けて新たなものを築く。さらに、次代を担う

       世代をも育成する。

       「成長していないなら、死にかけているんだ」とは、アニメーションとレジャー産業に

       大変革をももたらしたウォルト・ディズニーの言葉である。

 38   永久に成長を続けるものはない。

     ブームの中では、あらゆる会社が永久に成長を続けるものと考えた。

     それは愚かな期待だった。永久に成長を続けるものはない—とドラッカーはいう。

            「熱狂にあっても冷静に」とは、信越化学工業社長・金川千尋氏の持論だ。

      「私の意思決定にはデータ重視のものと、直感重視のものがある。ただ、感情できめる

      ことはない」とは、デルコンピュータのマイケル・デルの言葉だ。

 

この続きは、次回に。

 

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