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1分間ドラッカー 抜粋&感想⑤

第5章 「学び」を最高水準に保つ言葉

 39  歴史の本には、学校の成績は優秀だったが、人生では何もできなかった人たち

      のことは出てこない。

   学校の成績は、悪くていいわけがないが、ただよければいいというわけでも

   ない。社会に出てからの成果は別ものと考えたほうがいい。

   学校の知識は陳腐化する。絶えざる努力を通してのみ人は磨かれ、成果を

   あげることができる。

 40  機会は、それに値する者の扉だけを叩く。

    人的資源の能力を維持し、生産性を向上させ続ける会社は、必ず大きな

           成長の機会に出会う。機会は好況時だけに訪れるわけではない。

   「人的資源の能力を維持し、生産性を向上させ続ける」場合のみだ—と

           ドラッカーは主張する。

     「常にライバルは自分より頭が切れると考えよ」とは、GEドイツの会長

           だったウォルター・ラタノーの言葉だ。

      競争相手に勝つほど万全・周到に機会に備えてこそ「機会に値する者」に

           なるとができる。

41  多くを求めるならば、何も達成しない者と同じ程度の努力で、巨人にまで

      成長する。

   野心的な目標を掲げ、大きな影響のある仕事を強い意欲を持って追究する。

   そういう卓越性の要求こそが、人を巨人にまで成長させるのだ。

   GEのジャック・ウェルチは、自分の能力の限界まで最大限の努力を重ね、

         さらにその先を目指すことに価値があると信じていた。

         不可能と思える目標も、達成しようと努力することで可能になることが

         あるし、たとえ目標が達成できなくとも、その目標を設定しなかった時

         よりもはるかによい結果に結びつく、と考えていた。

42  知識労働者は、自らが教える時に最もよく学ぶ。

        ドラッカーは、情報化時代の組織は「学ぶ組織」であると同時に「教える

         組織」にならなければならない、という。

     昔の徒弟社会では、師匠は「隠す人」だった。

         弟子はそれを盗むしかなかった。

     現代では、「語る人」が伸びる人である。

43  社外に出、見、問い、聞かなければならない。

   イノベーションは理論的な分析であると共に、知覚的な認識でもあると、

       ドラッカーはいう。「出て、見て、問い、聞く」という認知の段階を省く

    とどうなるか。イノベーションの方向は正しくても、間違った形で世に出る。

    そして、結局は支持されないものとして終わる。

    イノベーションに成功する者は、自分の五感を用いて情報を集める必要が

     ある。パソコンが現代的で、歩き回るのが原始的ということは絶対にない

     のだ。

44  歩き回ることに頼るならば、経営者は間違った安心感に陥る。

        創業時にすごい力量を発揮し、一代で大企業へと育てた経営者が、晩年に

    なると「おかしい」「ずれてるな」と感じる判断をすることがしばしばある。

    なぜだろうか。

    周囲にイエスマンばかりが集まるからだ。

    耳の痛い情報や都合の悪い情報が入らなくなり、正しい判断ができなくなる。

     重要な情報や変化は、社内ではなく、社外にある。

     自ら市場に出かけ、自分の目で顧客やノンカスタマーの動向を観察し、話を

     聞くことが必要な情報を入手する唯一の方法だ。

    組織の中だけに目を向け、そこで得られる情報に関心を持つのではいけない。

    本当に必要な情報は、外に出ることで得られるのが現代だ。

45   目的は売上ではなく、学習だった。

    市場は日々変化し、顧客の嗜好もめまぐるしく変わっている。

    それに対応し、先取りもしていくためには、外に出で変化を探すべきだと

    いうのがドラッカーの主張だ。

    外に出て、お客様やノンカスタマーと話す。こうした学習を通して、次に

    何をすべきかを自ずと判断できるようになる。

46   知識は本の中にはない。本の中にあるものは情報である。

      「知識と知恵は違う」とは、トヨタの大野耐一氏の言葉だ。

     ドラッカーは、「知識が事業である」という。

     知識は、顧客や市場に貢献して初めて価値を持つ。どれほどの多くの情報を

     得ても、それを成果に結びつける知識(知恵)に転化できなければ、無用の

     長物でしかない。

      「学校はあてになりません。企業で教育をしなくてはね。企業は道場です。」

       とは、TDK社長だった素野福次郎氏の言葉だ。

47   教育は、経験や知恵を与えることはできません。

      ドラッカーは、ベンチャーが陥る典型的な罠が4つあるという。

      ① 期待の罠—予期しなかった市場で成功したが、自分が当初に描いたもので

                             はないと成功を受け入れない。

      ② 利益の罠—利益を重視するあまりキャッシュフローを軽視する。

      ③ 能力の罠—成長によって起業家の能力を超える。

      ④ 役割の罠—起業家が自らの役割を失う。

                         「迷った時には、10年後にその決断がどう評価されるか、10年前

                               ならどう受け入れられたかを考えてみればよい」とは、昭和電工

                              社長だった鈴木治雄氏の言葉だ。

48  問題はデータに関する技術ではない。データを情報に転化することである。

    容易でないのは、データを役立つ情報に転化することである。

     「大切なのはデータを集めるスピードや集積容量のおおきさではない。

    雑多なデータの中から必要な情報を見抜くことである」とドラッカーは主張

      してやまない。

 

この続きは、次回に。

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