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1分間ドラッカー 抜粋&感想⑥

第6章 「組織」に最適形態を導く言葉     

49 知識ある者は、常に理解されるように努力する責任がある。  

      知識労働者は、直接にものを生産するわけではない。

    生みだすアイデアや情報を誰かに使ってもらうことで、いわば間接的に生産する。

    だから、市場を理解すると同時に、組織における上下左右の人間が何を必要としているかを

  知らなければならない。さらに、自分のアイデアの内容や情報の価値を彼らにわかってもらう

  事が不可欠だ—ドラッカーは指摘する。

  自分のことを相手が理解できないのは、相手がわからず屋のバカモノだからではない。

  相手が理解できるように話すことができない自分の説得力不足のせいである。   

50 コミュニケーションを成立させるものは、受け手である。         

    コミュニケーションは、受け手の言葉を使わなければ成立しない—ドラッカーはいう。

    つまり、「この言葉を使って、受けては内容を理解できるか」を常に考える必要がある。

    ダメなら、理解してくれるまで、手を変え品を変えて伝え続ける根気と工夫が必要だ。

    大和ハウス工業創業者・石橋信夫氏の言葉–

         「私は経営を耳で学んだ。これこそ生きた経営学である。私は学問はないが「聞学-もんがく」は

    修得した。これが何よりの武器なのである」

51 成果をあげさせるためには、自分とうまくやっていけるかを考えてはならない。    

   部下にはいろいろなタイプがいる。

     ① 仕事はできるが使いづらいタイプ

     ② 仕事は今一つだが上司に従順なタイプ。    たいていの上司は②を好む。 

   「有能な部下は野心家でもあるというリスクを十分に知っているが、しかしそのリスクは  

        凡庸な部下にかしずかれるより、はるかに小さいことも自覚している」–ドラッカーは指摘する。

      自分の愛称は考えず、仕事中心に判断するのがビジネスである。

    富士ゼロックス社長だった小林陽太郎氏の言葉—–

          「まず組織の上に立てるものが頭を切り替えなければ、競争に勝てる戦略は生まれてこない」  

52  勉強しない生徒やできの悪い生徒は、学校の責任である。

   知識社会においては、学校を卒業したら勉強が終わりということではなく、絶えず学び

   続けなければならない—ドラッカーはくり返し主張する。

     人は人生のどの段階にあっても、教育を受ける機会が与えられなければならない。

   だから学校も、生徒だけでなく多様な年齢の人間を受け入れ、継続学習を可能にする開かれた

   ものになるべきだ。学校も大きく変わることが求められるのである。

   知識が中心的な資源となった社会においては、勉強しない生徒やできの悪い生徒が生じるのは、

   当人の責任というより、学校の責任になる。

   知識を与えるという仕事のできる学校と、そういう仕事のできない学校が明確に分かれていく

         だろう。「生徒が辺境しないからだ」と安易に生徒に責任を押しつけることができなくなり、生徒の

          レベルが低いのは、学校の教え方やシステムに問題があるといわれることになる。

     学校だけではない。成果があがらない責任を「できの悪い部下」に押しつける上司も淘汰されて

   いくはずだ。実際、リーダーが変わるだけで成果があがる会社や部署は多いものだ。

     いい部下、悪い部下がいるわけではなく、いい上司、悪い上司がいるだけである。

    上に立つ人間は、それを心すべきである。 

53 書類仕事を減らすことのメリットは、人間関係に使う時間を増やすことにある。      

   かつては「新人が一人前になるには3年はかかる」と言われた。

        だが、その期間はどんどん短くなり、反面で、人を育てるのには時間と手間がかかる。

    しかも、当然ながら誰もが優れた資質をもっているとは限らない。

   「知識組織のリーダーたる者は、将来性のある知識労働者のために時間を

   使わなければならない」—-とドラッカーはいう。

    ITT(国際電話電信会社)を急成長させてCEOハロルド・ジェニーンの言葉—-

            「リーダーシップは言葉より、態度や行動で示されるものである。」

      リーダーは、人を育て、人間関係を構築する時間を用意しなければならない。

54 人事に成功するには、候補者の弱みを見ることからスタートしてはならない。   

   成果をあげるためには「強み」に目を向けなければならないとむいうのが、ドラッカーの考え方だ。

   組織が成果をあげるには、凡人から強みを引き出し、弱みは組織の力で無意味にしなければ

         ならない。人事を行う人間は、強みよりも弱みに目を向けたがる傾向があるが、重要なのは、

         「何ができないか」ではなく、「何ができるか」だ。

         弱みを中心に見ていたのでは、いかなる成果も生み出せない。成果を生むものは、強みである。

   三井物産社長だった八尋俊邦氏の言葉—

               「身動きできない状況の中で、体を少しずつ、しかし絶えず揺さぶり続ける。

      そこには事態打開の糸口が見えてくる」


55  「できないことは何か」ではなく「できることは何か」と考える。    

   成果を生むのはひとえに強みである。

       弱みをなくしたからといって、何かが生まれるわけではない。

   弱みをなくすことにエネルギーを注ぐのではなく、強みを生かすことにエネルギーを注げ—と

   ドラッカーはくり返し強調する。

     他人の強みを探し、それを使う姿勢を身につければ、やがて自分についても

   同じ姿勢をとることができる。弱みに目を向ける人は自滅するだけだ。 

56  雇用関係は与件であって、メンバーは入れ替えられない。        

  企業や店の再建をなしとげた人の多くは、よく見ると、雇用にはほとんど手をつけていない。

  代わりにきちんとした目標を示し、目標達成に向けてコミュニケーションを取る。

  そして、自分から率先して改革に取り組む。こうしてメンバーのやる気を引き出し、全員一丸の

  取り組みを実現している。

  与件-「与件」とは – 既にそれとして与えられている条件は変えられない。

       変えられないことを壁だと思うのは愚かだ。やり方ややる気は変えられる。

       そこに集中すべきである。

57  リーダーが公言する信念とその行動は、一致しなければならない。   

  「部下は上司を3日で見抜く」という。

  リーダーたる要件は、信頼が得られることだ。信頼が得られなければ、従う者はいない。

  従うものがいなければ、それは「つき従う者がいる」というリーダーに関する唯一の定義を満たす

   ことはできない—-とドラッカーは指摘している。

   BP(ブリッティッシュ・ペトロリアム)アメリカ社長だったロバート・ホートンの言葉—-

       リーダーシップとは、どんなに悪いニュースであっても、最終的にはいい結果になるだろうと、

    人々を納得させられる能力である」

  そういう能力を得るには、何よりも真摯さが必要である。古くから言行一致というとおりである。

58  成果が何もなければ、温かな会話や感情も無意味である。       

        真のチームワークとは何か。

    チームワークは単に仲よく力を合わせることではない。よいと思ったことを遠慮なく提案し、

   意見を戦わせ、時にはケンカもする。その結果、最良の道が選択できたなら、今度は心を

   合わせてそこに集中する。これが真のチームワークである、と。

   仕事のチームで成果が何もなければ、温かな会話や感情はとりつくろいにすぎない。

   逆に、関係者全員にとって成果をもたらす関係であるならば、失礼な言葉があっても

   人間関係を壊すことにない—-とドラッカーはいっている。

   大切なのは成果や貢献 に焦点ょ合わせることだ。

 

この続きは、次回に。     

 

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