ドラッカー 2020年の日本への「預言」-③
□ コミュニティビジネスは、社会、企業などの小ビジネス促進策である。
この施策は、地域開発や雇用対策の実行手段として施行されてきた。
NPOは、中小企業や個人事業主と並び、小ビジネスの担い手として位置づけ
られ、補助金や強化策の対象となる。
□ ひとつの理念、理想を絶対のものとして掲げるのではなく、現実の社会、
政治を基礎に制度設計し運営すべきである。また、その設計、運営に当たって
は理想的な新しい制度を作ることは現実的ではなく、歴史の中で営まれた
方法や失敗から学ぶべきであり、「完全ならざる過去のうち、何をよりよき
未来のために延長させるかを決めること」である。
□ 企業組織と役割と権力
企業は、経済的な目的のみならず社会的な目的を持ち、人々に位置と役割を
もたらすコミュニティとしての役割を果たさねばならない。
□ 企業の権力を社会的な理念や目的に依頼するものにする必要がある。
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失業によって社会的に排除された人々に就労の場を与え、社会的な役割を
提供すること。大量生産の機能の一部として扱われていた人々に、社会的な
位置と役割を与え再び人間としての誇りを取り戻す、コミュニティの場を
提供する役割です。
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その役割を担うためには、
「企業の目的は、社会的な目的に合致したものでなければならない」
「経済的な利益のみならず、社会的な利益や公益を目的とすることで、
企業が持つ社会的権力に正当性を持たせる。」
□ 法制度に基づかないインフォーマルな存在として、社会的な機能を果たして
いたのが、地縁共同体などの地域社会の集団(NPO)である。
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相互扶助や助け合いを通して、地域住民に対して社会的なサービスを
供給した。
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企業に「コミュニティ」の役割を期待した。
□ ドラッカーのマネジメント論
① 今、何をしなければならないか。
② 目的は物事の本質に即して設定されているか。
③ 目的を達成するための計画を適切にデザインしているのだ。
④ 限られた人や資金などの資源を無駄なく、集中して投じているかを
常に問いかける。
⑤ 不得意なことではなく、得意なことにエネルギーを集中すべきだ。
□ コミュニティとは、厄介で煩雑なものだけれどそれを調和させるために
必要なのは、結局は「思いやり」なのだ。
□ 企業は、コミュニティの役割を担うことができない。
その理由は、産業社会から知識社会へと社会が変化していることにある。
働き手の意識の変化も挙げられる。
知識ワーカーは、自らが所属する企業よりも自分の知識に忠誠心を抱くので、
自らをより活かせる職場があれば容易に転職するというのです。
□ 社会的な課題解決を使命に掲げ、ボランティアや寄付などを通じ、人々の
自発的な行為を集めて活動する。
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非営利組織
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非営利組織が知識ワーカーのコミュニティになるだろうと確信する。
□ 非営利組織のリーダーが行おうとしているのは、ボランティアやスタッフに
自ら社会に貢献していることを実感し、誇りをもってもらうためのマネジメ
ント、つまり人々に「位置づけと役割を実感してもらう」ためのマネジメン
トであることに気付いた。
□ 「人間に位置付けと役割を与え、成長を促すためのマネジメント」を学ぶ
こと。
□ 2012年の私たちに伝えること。
2012年現在、若者を取り囲む社会環境は95年よりも悪化している。
例えば、日本人の自殺に関するデータをみると20代、30代の若い層の自殺が
目立ちます。 先進主要7カ国で、20代、30代の死因のトップが自殺であると
いう国は日本以外にはない。
また、就活の失敗で自殺した学生の数はこの1年で倍増している。
若い人々の自殺の背景には、経済的な困難だけでなく、社会的における自らの
位置と役割を 見出せないことの焦燥感や絶望があるように思われる。
□ 社会貢献活動に関心を持ち、それを自らのライフスタイルの一部として、
行動する人々が若い層を中心に増えている。
□ 有権者の当事者意識と責任感がどこまで育ち、政治にプレッシャーを与える
ことができるかという事。
有権者の責任感と政策をみる眼が育まれなければ、政治に緊張感を与える
ことができず、政治の質は低下してゆく。
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新しい変化の可能性
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一人ひとりが位置と役割をもって生きる自由社会は、誰が与えてくれるもの
ではない。一人ひとりが自らの意思の力で築き、守らなければならないもの
なのだ。日本には、そのポテンシャルが必ずある。
□ 人は組織を辞めた途端に急に弱くみえることがありますが、組織に依存し
すぎていたケースです。 確かに組織は、人に位置と役割を与えることが
できる。
↓
人々に社会的な位置と役割を与える役割や機能のことを「コミュニティ」と
言った。
□ 個人の倫理–誰かに依存するのではなく、自らの意思で熟考し選択し、その
結果について責任を持つ事。こうした自立の精神が育まれた時、「無関心の罪」
も減少してゆくと思う。
□ 成果や業績を上げられないことは言い訳にしかならず、成果をあげられた人と
そうでない人の差は 顕著になる。つまり、知識社会は極めて競争的で、多くの
成功者を生みますが多くの敗者も生まれる社会なのです。
□ 一人の知識ワーカーは一個の専門家ですが、一人では成果を上げることは
不可能です。専門分化が進むほどチームは必要となります。
外部のコンサルタント、仕事の受託などを通じて組織と関わり、仕事の機会を
得ている。
□ ドラッカーは、「イノベーションは天才のひらめきから生まれるものもあるが、
だがそのほとんど、特に成功したもののほとんどは、イノベーションの機会に
対する体系的な探究の結果もたらされている」
イノベーションというと、奇抜な発明というイメージがあります。
しかし、ドラッカーは、イノベーションを「事業体の経済的、社会的な能力に
変化をもたらす仕事である」と定義し、「それが体系的な調査と分析のもとに
生まれるものである」といいます。
体系的な探究の結果であるのなら、イノベーションを生みやすい環境を作り、
努力することは意味あることである。
□ イノベーションを起こす7つの機会がある。
① 予期せぬこと。
② ギャップ
③ ニーズ
④ 産業構造の変化
⑤ 人口構造の変化
⑥ 認識の変化
⑦ 新しい知識の獲得
以上が “ドラッカー 2020年の日本への「預言」”の私の参考になった部分を
抜粋致しました。いかがだったでしょうか。
2020年と言えば、東京オリンピックが開催されます。
2013年も残りわずかとなりましたが、2020年に向け、日本は、我々はどのような
方法へ進んで行くのでしょうか。
未来は予測できないけれど、日本にとっても、我々にとっても未来は切り拓く事は
可能であると、ドラッカーは言っています。
東京都知事猪瀬氏の記事が新聞紙上をにぎわしております。
「もっとやるべき仕事があるでしょう」「小説家、コメンテーター時代を知る我々としては、
あの時の貴方の発言はまやかしですか?」「ポリシーはないのですが?」等々、残念に
思っている人は多くいると思います。早く心緒進退を明確にして下さい。
テレビ画面で見る貴方の姿は、油汗や冷や汗がでて、何か怯えているように思います。
「万が一」がない内に、初心にかえり再出発を期待しています。
この続き、次回に。