知の巨人 ドラッカーに学ぶ ⑦
社会生態学—ドラッカーは、「八つの顔をもつ男」
社会、政治、経済、経営、歴史、哲学、技芸(東洋美術)
社会生態学とは何であり、何でなければならないか、ドラッカーは三つのことを
いっている。
第一に、すでに起こった変化で通念に合わないものは何か、あるいはパラダイム・
チェンジは何かを問いつつ、社会コミュニティを観察することである。
第二に、その変化が本物の変化であることを示す証拠があるかを問うことである。
第三に、もしそれが意味のある変化であるならば、いかなる機会をもたらすかを問うことである。
転換期の到来—1969「断絶の時代」 断絶
~10年後
1980年「乱気流時代の経営」 乱気流
バブルに気をつける
~10年後
1989年「新しい現実」
~4年後
1993年「ポスト資本主義社会」
~50年ぐらいつづく
(1965年から2020年)
脱経済至上主義—ドラッカーの関心の中心はつねに人間がある。人間は自由と平等を求める。
奴隷状態には我慢できないし、恵まれた者とそうでない者がいることにも我慢できない。
しかし、何が自由であり、何が平等であるかは時代によって、社会によって異なる。
人間は神の子で神の子であると規定していた時代もあったし、政治的な存在であると
規定していた時代もあった。
ベンチャー—ドラッカーによれば、ベンチャーが成功するには四つの原則がある。
第一に、至上に焦点を合わせること。ベンチャーのマネジメントは外に出て、いかなければならない。
市場に出かけ、顧客やセールスマンと時間を過ごし、見たり、聞いたりしなければならない。
第二に、財務上の見通し、とくにキャッシュフローと資金について、計画をもつこと。
第三に、トップマネジメントのチームを、それが実際に必要となるはるか前から用意しておくこと。
第四に、創業者たる起業家自身が自らの役割、責任、位置づけについて、決断することである。
ベンチャーマーキング—ベンチャーマーキングとは、業務プロセスに着眼して、他社の優れた
事例を分析し、自社との業務機会効率向上へとつなげる経営手法である。
1989年ロバート・C・キャンプが提唱した。
この手法こそグローバルな競争力を明らかにするものである。
ミックスシグマとは、ビジネス・プロセスをきわめてバラツキの小さい状態に
する ことを目的とした経営管理手法のことである。
コア・コンピタンス—「コア・コンピタンス」とは、他社には提供できないさらなる利益を顧客に
もたらすことのできる、 企業内部に秘められた独自のスキルや技術の集合体
である。競争優位の源泉は、成功を生み出す能力があり、他社に真似できない
核となる能力、すなわち中核的能力であるといえる。
自らの中核的能力をいかに識別するか。強みの向上や低下をいかに知るか。
強みは適切か、変える必要があるかをいかに知るか。
↓
自社及び競争相手の仕事ぶりをフォローし、予期せぬ成功を見つけ、
さらには予期せぬ失敗を見つけなければならない。
↓
予期せぬ成功は、市場が高く評価し、喜んで支払いを行ってくれるものを明らかに
してくれる。それは、リーダーの地位を得るために必要な優位性の存在を教えて
くれる。他方、予期せぬ失敗は、市場の変化、あるいは自らの能力の低下を教えて
くれる。
↓
あらゆる種類の組織になければならない共通の強みがある。イノベーションの
能力である。
↓
ドラッカーの中核的能力についての考え方は、
ロンドン・ビジネススクール教授のG・ハメルとミシガン大学ビジネススクール
教授のC・K・プラハラードの二人の共著
「コア・コンピタンス経営」に発展し、この本によって「コア・コンピタンス」
なる概念は世に広まった。
コーポレート・ガバナンス—コポーレート・カバナンスは「企業統治」と訳されているが、
「会社は誰のものか」「会社は誰のためにどのように運営される
べきか」という問題意識が 中心テーマである。
ドラッカーは、「会社は誰のものか」という問いに、社会のもの
だという。マネジメントの責任は、具体的にはマーケティング、
イノベーション、生産性、ヒト・モノ・カネの活用、社会的責任の
遂行である。
コーポレート・ガバナンスにおける具体的な論点は、主に三つある。
第一に、経営上の意思決定の仕組み。
第二に、企業内外のさまざまな利害関係者(ステークホルダー)相互の
関係や利害調整。
第三に、経営者に規律を与え、監督・監視する仕組みである。
シェアホルダー(株主)–-ステークホルダーとは、経営者、従業員、組合、顧客、取引銀行、取引先など。
第三部 知の巨人、ドラッカー
ドラッカーが肯定した男たち
チャーチル、シュンペーター、澁澤 栄一
ドラッカーが否定した男たち
ヒトラー、ケインズ、ウェルチ
ドラッカーと儒教
ドラッカーと明治維新
ドラッカーの日本へのメッセージ
ドラッカーとサービス業
以上の第三部については、独自でお読みいただければと思います。
総括 いかがでしょうか。
是非、一度購読いただければと思います。
それでは、次回をお楽しみに。