企業とは何か-⑩
社会と企業は同一の利害を有する
・古典派経済学の決めつけ
□ 経済学は、生産要素として労働、原材料、設備をあげる。
ところが産業生産には、第四の生産要素として経営組織が必要となる。
この第四の生産要素が近代大量生産においては、最も重要な生産要素となり、
代替のきかない唯一の生産要素となった。
原材料はほかの原材料で代替できる。機械と肉体労働も代替できる。
しかし人間組織は何ものをもってしても代替できない。
産業社会においては、人間組織だけが社会の利益のために細心の注意をもって
維持すべき生産要素である。
経済的には、これを部分の統計を超えた価値をもつ存在としてのゴーイング・
コンサーンと呼ぶことができる。
ゴーイングコンサーンとは、「継続企業の前提」「企業の存続可能性」
などと訳され、会社が将来にわたって事業を継続していくという前提の
こと。固定資産の取得原価主義、減価償却制度、繰延税金資産の計上など、
現在の会計制度の多くは継続企業の前提によって成立している。
平成15年3月期より、このゴーイングコンサーンについて、監査人と経営者が
検討を行うことが義務づけられている。
ゴーイングコンサーンに疑義ありと判断された場合、その内容を財務諸表等
に注記することが求められる。
社会的には、これを一朝一夕につくりあげることのできない人間組織と
することができる。いずれにせよ社会にとっては、生産主体としての
組織の存続は最大の関心事たらざるを得ない。
・企業の存続が社会の利益
独占は企業にとってよいことか
・独占的支配は打破される
□ 一つの商品の市場における独占的支配は、ほどなく類似の代替品ないしは
新商品によって打破されざせるを得ない。ところが今日、市場の直接支配と
いう従来型の独占の代わりに、生産手段への独占が増えている。
資本の独占によるカルテル、知識の支配によるコンソーシアム、労働力の
支配による労働組合、商品市場における独占的慣行である。
企業、政府機関、労働組合のいずれにせよ、独占は反社会的である。
しかも、近代産業社会は必要的に独占に向かう傾向がある。
・独占は利益をもたらさない
・GMの競争政策
・生産調整と生産低迷の峻別
規模の大きさを最大限に生かす
・大規模たらざるをえない産業
・規模が可能にする長期的視点
・分権制を採用した大企業では
この続きは、次回に。