お問い合せ

新装版 こころの朝 ⑨

20   寄付は、金額の大小よりも、その心がけが大切

  釈迦に灯を寄進した貧しい女性

  長者の万灯より貧者の一灯

 

百万円の寄付と、一万円の寄付では、どちらが尊いのか。

大切なのは「心」であって、金額の大小ではないことを、昔から、

「長者の万灯より貧者の一灯」といわれている。

津波や地震の被災者への義援金を、何千万円と出す行為は、もちろん尊い。

しかし、小遣いが毎月千円の中学生が、欲しい物をガマンして一万円を

寄付したとしたら、その心がけは、決して富者に劣るものではない。

 

21 「家の中を、すみずみまで掃除すべし」当たり前のことを実践してこそ、

        人並み以上の仕事ができる

  伊達政宗、引っ越しの心得

 

戦場で勇ましく戦うだけが、武士の名誉ではなかったのだ。

他人に迷惑をかけない。

整理整頓を心がける。

借りた物は、元の状態に戻してから返す。

これらは、人として当たり前のことであり、実践してこそ信用される。

「普段から、当たり前のことを、きちんと実行する緊張感がない者は、

いざ戦場へ出ても、命懸けの働きなど、できるはずがない」と戒めて

いるのだろう。

私たちにあてはめれば、「日常の整理、整頓、掃除ができていなければ、

中途半端な仕事しかできないぞ」と叱られているようなものである。

当たり前のことを、着実に実践し、足元を固めていったからこそ、実現し

たのだろう。

 

22    自分の非を認めず、言い訳したり、他人のせいにするのは、非常に重い罪である

   伊達政宗の書状

 

自分の失敗を、他人のせいにしたら、信用をなくすだけである。

しかも、それは本人だけの損失では終わらない。当然、責任転嫁された人

の心は傷つくだろうし、恨みも抱くだろう。和が乱れ、団結が損なわれる

のは間違いない。また、些細なことさえ責任転嫁する者は、重大なミスを

犯した時には、なおさら隠蔽工作をするだろう。組織が瓦解する元凶であ

る。

 

恐るべき 槍先よりも 舌の先 やがてわが身を 突き崩すなり

 

23    小さな修正に時間をかけず、見かけだけいいものを作っても、決して、人の心をうたない

         彫刻家、ミケランジェロ

 

まさに、感動を与える作品とは、忍耐強い努力と想像を絶する苦労の結晶

なのである。

ある貴族から胸像の製作を依頼された時、ミケランジェロは、十日間で

作り上げ、金貨五十枚を請求した。貴族は驚いて、

「わずか十日で仕上げたにしては、制作費が高すぎる!」と抗議した。

ミケランジェロは、言っている。

「〝わずか十日間〟で、胸像を作れるようになるには、三十年の蓄積に

裏付けられた十日間です。その価値がお分かりになりませんか」

 

 

この続きは、次回に。

 

 

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