チェンジ・リーダーの条件⑮
○ 社会的責任の限界
マネジメントは召し使いである。
主人は、彼がマネジメントする組織である。したがって、マネジメントの責任とは、自らの組織に対する責任である。
マネジメントの役割は、企業、病院、学校、大学の別に問わず、その組織を機能させ、その目的、使命とする貢献を果たさせることである。
大きな組織の長としての地位によって公的な地位につき、社会の問題について指導的な役割を果たしたとしても、自らの企業や大学を放置して不振を招いていては、とても公人とはいえない。
無責任というべきである。与えられた信任に応えていない。
組織がそれぞれ具体的な目的を果たすことこそ、社会がもっとも必要とし、かつもっとも関心をもつことである。
個々の組織がその具体的な機能を遂行する能力を損なうことは、社会にとっての損失である。
組織にとって最大の社会的責任は、その機能を遂行することである。
○ 権限の限界を知る
社会的責任に関してもっとも重要な限界は、権限の限界である。
法学には、責任という単独の概念はない。
あるのは、責任と権限という概念である。
権限をもつ者は、責任を負う。逆に、責任を負う者は、権限を要求する。
責任と権限は同じコインの両面である。
社会的責任を負うということは、つねに、社会的権限の要求を意味する。
○ 組織が果たすべき最大の貢献
○ プロフェッショナルの倫理
○ 「知りながら害をなすな」
Part4 マネジメントの基礎知識
1章 マネジメントの常識が変わった
○ パラダイムは不変ではない
社会科学では、前提や仮定がそのままパラダイム、すなわち支配的な理論となる。
○ マネジメントは企業だけのためのものか
マネジメントについて当然とすべき第一の前提は、それがあらゆる種類の組織にとっての体系であり、機関であるということである。
○ 組織の正しい構造は一つか
組織は、ともに働く人たちの生産性を高めるための道具である。
そのようなものとして、組織構造は、それぞれがある状況のもとで、ある時点において、ある仕事に適合するというだけである。
組織構造は仕事の種類によって違うことを知ったに違いない。
組織には、守るべきいくつかの原則がある。
第一に、組織は透明でなければならない。
誰もが自分の働く組織の構造を知り、理解できなければならない。当然である。
第二に、組織は最終的な決定を下すものを必要とする。
危機にあっては、その者が指揮をとる。
第三に、権限には責任が伴わなければならない。
第四に、上司はひとりでなければならない。
第五に、階層の数を少なくしなければならない。
組織の構造は可能な限りフラットなほうがよい。
しかし、これらの原則は、何をなすべきかについては、教えない。
何をなすべきかを教える。うまくいきそうではないことを教える。
このことが意味するものは何か。それは、個々の人間が、同時にいくつかの組織構造のなかで働くことが必要になるということである。
ある仕事のためには、チームの一員として働き、
別の仕事のためには指揮命令系統のなかで働く。
自分の組織ではボスだが、他の組織とは、提携や少数株式参加、合弁のかたちでパートナーの一員となる。すなわち、組織とは、一人ひとりの人間にとって、あくまで道具にすぎない。
さらに重要なこととして、それぞれの組織構造の強みと弱みをしっておかなければならない。
どのような仕事には、どのような構造がもっとも適しているか、適していないか。
仕事の性格の変化に応じて、いつ構造を変えるべきか。
この続きは、次回に。