完訳 7つの習慣-人格の回復-16
この本の活用方法
「7つの習慣」を一つずつ見ていく前に、二つのパラダイムシフトを提案したい。
まず、この本は一度目を通したら本棚にしまい込んでおくようなものではないと考えてほしい。
この本を、変化と成長の継続的なプロセスを通して手元に置き、折に触れて読み返し、参考にして欲しい。
段階的な構成になっており、各習慣の章の最後に応用方法のアイデアを用意してあるので、それぞれの習慣が理解できたら、集中的に練習し身につけることができる。
理解が深まり、習慣が身についてきたら、再度習慣の原則に立ち戻ってほしい。
知識を広め、スキルを伸ばし、意欲を高められる。
第二に、この本との関係を生徒(教わる側)から教師(教える側)に転換することを勧めたい。
インサイド・アウトのアプローチにならって、学んだことを二日以内に他の人に教えることを前提として読んでほしい。
この本がもたらしてくれること
マリリン・ファーガソン(訳注:米国の社会心理学者)の次の言葉がすべてを言い表していると思う。
「説得されても人は変わるものではない。
誰もが変化の扉を固くガードしており、それは内側からしか開けられない。
説得によっても、感情に訴えても、他人の扉を外から開けることはできない。」
あなたが自分の「変化の扉」を開き、「7つの習慣」に込められた原則を深く理解し、実践する決心をするならば、いくつかの素晴らしい成果を約束できる。
まず、あなたは段階を踏みながら進化的に成長していくが、その効果は飛躍的なものになる。
第2、第3の習慣(私的成功の習慣)に対して「変化の扉」を開くことによって、あなたの自信は目に見えて増すだろう。
自分自身を深く知り、自分の本質、内面の奥深くにある価値観、自分にしかできない貢献にはっきりと気づくだろう。
自分の価値観に従って生活すれば、あるべき自分を意識し、誠実、自制心、内面から導かれる感覚を得て、充実した平安な気持ちに満たされる。
他者の意見や他者との比較からではなく、自分の内面から自分自身を定義できる。
正しいか間違っているかは他者が決めるのではなく、自分で判断できるようになるのである。
逆説的だが、周りからどう見られているかが気にならなくなると、他者の考えや世界観、彼らとの関係を大切にできるようになる。
他者の弱さに感情を振り回されることがなくなる。
さらに、自分の心の奥底に揺ぎない核ができるからこそ、自分を変えようという意欲が生まれ、実際に変わることができるのである。
さらに第4、第5、第6の習慣(公的成功の習慣)に対して「変化の扉」を開けば、うまくいかなくなっていた大切な人間関係を癒し、築き直す意欲が生まれ、そのための力を解き放つことができるだろう。
うまくいっている人間関係はいっそう良くなり、さらに深く堅固で、創造的な関係に発展し、新たな冒険に満ちたものになるだろう。
そして最後の第7の習慣を身につけることによって、それまでの六つの習慣を再新再生して磨きをかけ、真の自立、効果的な相互依存を実現できるようになる。
第7の習慣は、自分自身を充電する習慣である。
あなたが今どんな状況に置かれていようと、習慣を変えることはできる。
それまでの自滅的な行動パターンを捨て、新しいパターン、効果性、幸福、信頼を土台とする関係を生み出す新たなパターンを身につけることができるのだ。
「7つの習慣」を学ぶとき、あなたの変化と成長の扉をぜひ開けてほしい。
忍耐強く取り組んでほしい。
自分も成長させるのは平たんな道のりではないが、それは至高に通じる道である。
これに優る投資が他にあるだろうか。
これらは明らかに応急処置ではない。だが、必ず成果を実感でき、日々励みになるような成果をも見ることができる。
ここでトーマス・ペイン(訳注:米国の社会哲学・政治哲学者)の言葉を引用しよう。
「なんなく手に入るものには人は価値を感じない。
あらゆるものの価値は愛着がもたらすものなのだ。
ものの適切な対価は、誰にもつけられないのだ」
この続きは、次回に。