完訳 7つの習慣-人格の回復-40
第4の習慣
Win-Winを考える THINK WIN/WIN
人間関係におけるリーダーシップの原則
黄金律は暗記した。さぁ、実行しよう。
—エドウィン・マーカム
根を変えずに、その木になる果実を変えることはできない。
表に出る態度や行動だけに働きかけるのは、ハサミを入れる程度の効果しかない。
そこで私は、協力することの価値が社員に伝わるようにし、社員
同士の協力が報われる報酬制度を整えることによって
組織を根本から変革し、個人と組織の優れた力を最大限に引き出すよう提案した。
たとえあなたの社会的立場が社長やマネージャーではなくとも、
自立から相互依存の領域に足を踏み入れた瞬間に、
リーダーシップの役割を引き受けたことになる。
そして、効果的な人間関係におけるリーダーシップの習慣は、「Win-Winを考える」である。
人間関係の六つのパラダイム
Win-Winとは、決してテクニックではない。
人間関係の総合的な哲学である。
人間関係の六つのパラダイムの一つである。
そしてWin-Winの他に、「Win-Lose」「Lose-Win」「Lose-Lose」
「Win」「Win-Win or No Deal」のパラダイムがある。
●Win-Win 自分も価値、相手も勝つ
●Win-Lose 自分が勝ち、相手は負ける
●Lose-Win 自分が負けて、相手が勝つ
● Lose-Lose 自分も負けて、相手も負ける
● Win 自分が勝つ
● Win-Win or No Deal 自分も勝ち相手も勝ち、それが無理なら取引しない
ことに合意する。
Win-Win
Win-Winは、すべての人間関係において、必ずお互いの利益になる結果を
見つけるようにする考え方と姿勢である。
何かを決めるときも、問題を解決するときも、お互いの利益になり、
お互いに満足できる結果を目指すことである。
Win-Winは、第3の案の存在を信じることである。
あなたのやり方でもなければ、私のやり方でもない、もっと
よい方法、もっとレベルの高い方法だ。
Win-Lose
リーダーシップのスタイルで言えば、Win-Loseは「私のやり方を通す。
君の意見は聞くまでもない」という権威主義的なアプローチになる。
Win-Loseの考え方の人は、自分の地位、権力、学歴、所有
物、あるいは個性の力を借りて、
自分のやり方を押し通そうとする。
人生のほとんどは、一人で自立して生きるのではない。
他者とともに、お互いに依存しながら生きていく。
それが現実である。あなたが望む事柄のほとんどは、
周りの人たちと協力できるかどうかにかかっている。
Win-Loseの考え方でいたら、人と力を合わせて結果を出すことはできない。
Lose-Win
Lose-WinはWin-Loseよりもたちが悪い。
Lose-Winには基準というものがないからだ。
Lose-Winを考える人は、相手に対して何も主張せず、何も期待せず、
何の見通しも持たずに、ただ相手を喜ばしたり、なだめたりすることしか考えない。
人に受け入れられ、好かれることに自分の強みを求める。
自分の気持ちや信念をはっきりと言う勇気がなく、相手の我の強さにすぐ萎縮してしまう。
Win-Loseの人は、Lose-Win思考の人が好きである。
弱さにつけこみ、餌食にして、自分の思いどおりにできるからだ。
Win-Loseの強気がLose-Winの弱気とぴったりとかみ合うわけである。
より高い目的に到達するために自分の気持ちを乗り越えようとせず、
ひたすら感情を抑えることだけを考えていたら、自尊心を失い、
しまいには人間関係にも影響が及んでしまう。
Win-Loseタイプの人もLose-Winタイプの人も、内面が安定していないから、
自分の立場がぐらぐらと揺らぐのである。
短いスパンで見れば、Win-Loseのほうが結果は出せるだろう。
Win-Loseタイプは地位があり、力や才能に恵まれた人が多いから、
そういう自分の強みを力にして、相手を負かすことができる。
一方のLose-Winタイプの人は、初めから弱気だから、自分が
何を手にしたいのかもわからなくなる。
多くの経営者や管理職、親は、Win-LoseとLose-Winの間を
振り子のように行ったり来たりしている。
秩序が乱れ、方向がずれて期待どおりに進まず、規律のない混乱した状態に
耐えられなくなるとWin-Loseになり、そのうち自分の高飛車な態度に良心が痛んでくると、
Lose-Winになって、怒りやイライラが慕ってWin-Loseに逆戻りするわけである。
Lose-Lose
Win-Winタイプの人間が、角を突き合わせることもある。
気が強く頑固で、我を通そうとする者同士がぶつかると、結果はLose-Loseになる。
二人とも負けるのだ。
そして二人とも「仕返ししてやる」「この借りは絶対に返すぞ」と
復讐心に燃えることになる。
相手を憎むあまり、相手を殺すことは自分も殺すこと、復習は
両刃の剣であることが見えなくなる。
Lose-Loseタイプの人は、自分の目指すべき方向がまったく見えず、
他者に極度に依存して生きている自分が惨めでならず、
いっそのことみんな惨めになればいいと思ったりもする。
早い話、「勝者がいなければ、自分が敗者であることが悪いことではないと思う」わけである。
Win
他者は関係なくただ自分が勝つことだけを考えるパラダイムもある。
Winタイプの人は、他の誰かが負けることを望んでいるわけではない。
他人の勝ち負けはどうでもよく、自分の欲しいものを手に入れることだけが大切である。
競争や争いの意識がない日々のやりとりの中では、Winタイプの人は、
自分の目標が達成できるかどうかしか頭にないから、他人の
目標がどうなろうと自分には関係ないと考える。
この続きは、次回に。