ドラッカーとの対話 未来を読みきる力 3
ドラッカーの強味論
ドラッカーの言葉の中で私が一番気に入っているもの、ドラッカーの名言中である
「強味の上におのれを築く」について話して、この序章の結びとしたい。
この「強味の上に築く」は最も重要なものであると私は受け止めている。
個人として、チームとして、組織として、集団として、また国としてもそうではないだろうか。
人間にはなかなか変わりにくい側面がある。
この点が、アメリカの企業経営における一期一会での勝負につながっていく。
これを英語で言うと、here and now (ヒア・アンド・ナウ)であり、
絶えずその場で勝負している。
その場合には、それぞれの強味—-マネジャーの強味、あるいは
リーダーの強味、フォロワーの強味—-が最大限に発揮できるような
「日々の交差点」で、最強の成果を目指すことが肝心である。
こうした角度からも強味の重要性、強味の共鳴性をドラッカーは重視しているといえよう。
新しいものや世界の未来を考えているドラッカーが今でも語り教えてくれたこと、
そして我々が学んだこと、とくらマインドセット(心の仕組み)をはじめとする
様々な手法をいよいよ本格的に活用する機会が到来していると思う。
ドラッカーの所説を吸収し直し、それを現在日本が直面している問題に応用してみようではないか。
我々は21世紀に向けての応用問題をドラッカーから出されたのだと考えたい。
手法としては、たとえばイノベーションである。
イノベーションには7つの源泉であり、その1つに予期せざる大成功、
予期せざる大失敗から学ぶことができるというものがある。
この大国難期をむしろポジティブに受けとめてこそ、新しい突破口を
切り拓けるのではなかろうか。また、ドラッカーはしばしばイノベーションに必要なのは、
捨てることだと力説する。
日本人はどうも捨てるのが嫌いで、しがみつくのが大好きだ。
だからドラッカーの言う強味、日本の強味を洗い直すことが必要である。
我々は今ドラッカーから大きな宿題を、個人として産業人として与えられているのだ。
この続きは、次回に。