認知症にならないための 決定的予防法㉖
アルツハイマー予防食は地中海式の食事
アルツハイマー予防食は、新鮮な果物や野菜、魚などのリーンタンパク質、ナッツ類や種、
豆類、精製していない全粒穀物、オリーブ油などのよい脂質、およびヨーグルトや
ナチュラルチーズなどの低脂肪の乳製品を推奨するという点で、地中海式の食事なのです。
この地中海式の食事では、赤肉[牛肉、羊肉など]や甘いデザート、加工食品を避けることになります。
背景を少し説明しましょう。
コロンビア大学の研究者が平均年齢76.3歳の1984人の人びとの食事内容を分析し、
1から9までの得点をつけたところ、被験者の食事が地中海式の食事に近いほど、
点数が高くなることがわかりました。
コロンビア大の研究は、高得点の人のあいだでは、アルツハイマーを発症するリスクが最も
低かったと結論づけています。
つまり、地中海式に最も近い食事をとっていた人びと、ということです。
食事の得点表が1点あがるごとに、アルツハイマーになる可能性が19%から24%下がっていました。
たとえば、6点の人は5点の人にくらべて、アルツハイマーになる可能性が19%から24%低いと
いうことです。
上位三分の一に位置づけられた人は、下位三分の一に入った人よりもアルツハイマーになる
リスクが68%も低かったのです。
アルツハイマー予防食は<よい脂質>をとる食事
1960年代末に、アメリカの国立衛生研究所(NIH)は冠動脈疾患はコレステロールと関係しており、
コレステロールは脂質に富む食品と関連している、とする報告書を発表しました。
彼らの結論はどういうことだったのでしょう?
脂質はすべて悪い、というものでした。
のちの報告書でNIHは、脂質だけでなく、しばしば脂質が含まれているタンパク質も減らすか
排除しなければならないと警告しました。
そうして、炭水化物を最大限に摂取するようにすべきだ、と推奨しました。
炭水化物を食べて、脂肪には手をつけるな、と彼らは考えたのです。
そして、人間の生理学の知識をほとんどもたぬまま、NIHはこの<低脂肪ダイエット>の指令を
農務省にだしたのです。
その結果、産業界は低脂肪で糖分が多く、炭水化物満載のシリアルを大量生産し、
それが若者たち、つまりわれわれベビーブーム世代向けに売られ、与えられたのです。
低脂肪ダイエットをつづけた結果、高血圧、メタボリック・シンドローム、2型糖尿病、
それに65歳未満の人のアルツハイマー病が、これまでになく増加しました。
農務省は、人間の体が現在も1万年前と変わらない方法で、食べ物を吸収することを
考慮していなかったのです。
当時の人類が食べていたのは、脂質、タンパク質、野草、ベリー類だったのであり、
精製された糖や白パンではなかったのです。
砂糖と精製された小麦粉は体全体にグルコースをめぐらせ、インスリン値を急激に高め、
脳内でアミロイドを沈着させ、フリーラジカルを発生させます。
余分な炭水化物と脂肪酸は、細胞膜を次々に攻撃する腐敗分子のようなフリーラジカルの
一部となり、皮膚、心臓、肝臓などの臓器を早くから老化させます。
農務省はあわてて対処しようとするあまり、巨大な食事指針ピラミッドを考案し、
そのせいで多くの人びとを2型糖尿病やアルツハイマー病の人生におとしいれました。
われわれはいま、氷山の一角を見ているに過ぎません。
アルツハイマー予防食では、室温では液状の油を用います。
さらに好ましいのは、植物性食物(オリーブ、亜麻仁、ナッツ類、アボカドなと)から
一価不飽和脂肪酸を摂取することです。
油ののった魚(カタクチイワシ、サーディン[ニシン科の小魚]、シャッド[ニシンダマシ]、
サバ、マグロ、サケなど)に含まれるオメガ3多価不飽和脂肪酸や、室温で液状か
やわらかい状態の油である多価不飽和脂肪酸、つまりコーン油、大豆油、ひまわり油、
フラワー油、ゴマ油なども利用します。
この続きは、次回に。