認知症にならないための 決定的予防法-74
第3部 アルツハイマー病の診断、治療、そして将来
8 アルツハイマーかどうかの診断
アルツハイマーの症状が最初に見られたときから、適切な医師を見つけ、きちんとした診断テストを
受けることがいかに重要か、ここで説明させてください。
早い時期に適切な治療をおこなえば、あなた自身あるいは大切な人を誤診や不適切な治療から
守ることができ、家族を不要なストレスにさらさずにすむのです。
アルツハイマー病を治療するのに最良の医師を選ぶ
ほとんどの医者は、記憶障害の疑いがある患者に初期の検査をすることはできます。
ほとんどの医者は、予備的診断を下すことはできます。
しかし、それでもアルツハイマー病は巧みに姿をごまかす病気であり、初期の段階(1章で説明した
ような軽度認知機能障害など)では、診断するのは決して容易ではありません。
この診断を性格に下せるのは、特定の医者だけです。
・ やらなければならないこと
自分が記憶障害ではないかと疑問に思うのであれば、身近な人—配偶者や子供、同僚など—に
お願いして、診察に同行してもらうことが重要です。
最初の予約をとるときは、事情を説明して、<長めの診察時間>を確保してもらうよう
依頼することが肝心です。
記憶障害を伴っていることを医師に理解してもらえば、適切なテストをおこなって、
検査の的を絞ることができるでしょう。
早期の診断は重要であり、次のような理由からそれが脳を救うことも多々あります。
1 293ページで述べるように、治療可能な認知症の場合は、早期診断によって手遅れにならずに
悪化を妨げるようになります。
治療可能な認知症に関連した病状には、心臓血管障害(血管性認知症)、ビタミンB12欠乏症、
間違った投薬もしくは薬の併用、薬物やアルコールの問題、そのほかの未治療の疾患などが
含まれます。
2 それによって認知症の進行を食い止めることも可能かもしれません。
ときには、薬を変えるだけで、薬の効き目を変えるだけで、あるいはビタミンB12を
補給するだけで、初期の認知症に関連した症状は改善することがあります。
3 そうすることで患者も家族も将来に備えることができます。
実際にアルツハイマー病だった場合にも、初期の症状を改善するのに役立つ薬があります
(これらの薬については9章で概説します)。
これらの治療は初期段階で患者の生活の質を高め、アルツハイマー病によってその後に
待ち受ける状況に、家族が適応する時間も与えてくれます。
4 軽度認知機能障害(MCI)を見分けるうえで、早期診断は欠かせません。
MCIが進行してアルツハイマー病になる危険は、年に18%もの割合で増加します。
アルツハイマーを予防する処方箋は、このグループの人たちにはとりわけ重要なのです。
この続きは、次回に。