お問い合せ

認知症はもう怖くない ⑱

「60歳になったら危ない」という意識を持つ大切さ

 

どなたにも認知症になる可能性が〝公平〟あります。

ただ、その可能性は60歳から俄然高くなります。

10代から90代までの海馬のサイズを計測し比較すると、驚くべきことに60歳を境にして

急激に萎縮していくことがわかりました。

さらに年齢と認知機能検査(MMSE)の相関関係を見てみると、これらも60歳を境にしてその点数の

低下が急激に進んでいることが判明しました。つまり、60歳が曲がり角なのです。

60歳前後からは予防や生活改善といった認知症対策を始める必要があるといえそうです。

備えあれば憂いなし。「60歳になったら危ない」というくらいの危機意識を持ったほうがいいと思います。

その際、「自分だけは大丈夫」という考え方は捨てましょう。

 

シロウト判断ほど恐ろしいものはない

 

巷間、認知症かどうか判断する自己診断として、こんな質問が紹介されているそうです。

「昨夜、何を食べたか覚えていないのが単なる物忘れ、食べたこと自体を覚えていないのが認知症」

一見すると両者の違いが簡単にはっきりわかるし、いい質問のように思えるかもしれませんが、

これだけで判断してしまうのは危険きわまりありません。

この質問の正体は〝都市伝説・高齢者バージョン〟といった程度です。

この質問のどこが問題なのかというと——。

いちばんまずい点は、「昨夜、何を食べたか覚えている人」がそれで安心してしまうことです。

昨夜、何を食べていたか覚えていても、認知症でないと言える保証は何一つないのです。

認知症は自覚症状のない病気であることを思い出してください。

すでに何度も述べているように、認知症は早期の発見(ひいては予防)

がとても大切です。質問に答えられたからと安心して病院で診察を受ける機会を逸してしまうのは、

とても残念なことであり、また恐ろしいことでもあります。

一方、「食べたこと自体を覚えていない」と答えた人は、認知症、それもかなり進行した状態の

認知症である可能性が高いでしょう。

こんな質問に答えているヒマがあったら、さっさと病院に行き、専門医の診察を受けることです。

 

一日一合程度の飲酒なら大丈夫

 

2010年、WHO(世界保健機構)は死亡要因の中で、飲酒私有間の影響は年間250万もの人に達するという

調査結果を発表しましたが、過度の飲酒は認知機能にも影響を及ぼします。

過度の飲酒は脳の萎縮(前頭葉)を引き起こすのです。

そもそも脳の萎縮は、脳の神経細胞が大量に死滅し、脳の容積が小さくなることで起こります。

それ自体は一種の老化現象で加齢とともにだれにでも起こり得ることですが、過度の飲酒は

脳の萎縮にスピードを速めるという研究結果が国内外で発表されています。

では、脳の萎縮を呼ぶ過度の飲酒とは、どの程度の量なのでしょうか。

一般に毎日二合以上飲み続けると、脳の萎縮が早まると言われています。そして毎日二合飲む人は、10歳年上の非飲酒者と同程度に脳萎縮していることが明らかになっています。

つまり、脳が10歳早く老化する、ということです。

ちなみに、適度なアルコール量とは日本では一日に純アルコール20グラム程度です。

日本酒180ml、ビール500ml、25度の焼酎100ml、ワイン240ml、40度のウイスキー60mlがこの量に

相当します。また、少量のアルコールによって脳細胞に小さなストレスを与えることにより、

認知症の原因となる大きなストレスに対処する能力が向上するという説もあります。

いずれにしても、適度なアルコールは認知症発症の危険因子にはなりにくいと思われます。

日本では古来、『漢書』にある「酒は百薬の長」という言葉が受け入れられてきましたが、

摂取量が適量であれば、この言葉にも理があるようです。

 

 

この続きは、次回に。

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