ドラッカーのマネジメントがマンガで3時間でわかる本㉙
55 雇用を政府に期待しない現実がある
—企業が人々の生活を守るはずだが
⚫️ 雇用に対する企業への期待
日本、ドイツ、スウェーデンなどは、比較的政府を信頼しているが、それほど期待はしていない。
一方、企業に対してはかなり期待している。
正規雇用の労働者は生活を守ってもらい、生活は豊かになった。
昔は家にエアコンはなかったし、アパートにはエレベーターもなかった。
人々はさらに企業に期待する。
⚫️ 雇用の問題はむずかしい
企業には雇用についての責任がある。
雇用環境は飛躍的に改善されている。
平等な雇用は人々を豊かにする。
安定的な雇用にはマネジメントが必要だ。
しかし、ドラッカーは「マネジメントを過信するな」と指摘している。
⚫️ 行政は突然、雇用を奪う
戦前、アメリカで日本人の排斥運動があった。
農地を取りあげられ、働き口を失った日本人は、多数、南米に移住した。
行政は突然、雇用を奪う。雇用の問題は一筋縄では解決しない。
世界の実業率はなかなか下がらない。
◽️ 政府に対する幻滅→企業のマネジメントに期待。
個人の自由を実現し、よき社会を作るのは企業だ。
56 企業には、製品と社会に対する二つの責任がある
—-使命と目的を考え、必要でないものをやめる
⚫️ 「製品への責任がある」
「企業の責任」には二つある。「製品への責任」と「社会に対する責任」だ。
「製品への責任」とは、車なら安全性という責任がある。
かつてフォードは車が売れないため、シートベルト付きの車の製造をやめたことがある。
しかしのちに「死の商人」のように激しく攻撃された。
その後安全を守る法律が次々とできた。
市民を守るというより、メーカーを罰するためといわんばかりに。
⚫️ 「社会的責任がある」
「社会的責任」とは、鉄鋼メーカーなら環境対策だ。
病院の目的は患者の治療だ。
しかし、しばしば問題になるのは雇用の問題だ。医者、看護婦、料理人が必要になる。
社会的責任を無視して、良い企業、良い病院、良い大学を作ることはできない。
病院にとっては医療が使命だ。その目的のために医者や看護師が働いて大いに社会に貢献する。
ところが、一方で病院が医療廃棄物や水質汚染の問題を起こす。
これでは社会的責任はまっとうされない。
⚫️ 「問題解決にはコストがかかる」
企業が環境対策や規制を守ろうとすると必ずコストの問題にぶつかる。
鉄鋼メーカーが熱、騒音、煙をなくそうと思えば莫大なコストがかかる。
昔は、「いくら収益をあげたか」を問題にした。
今は利益率、雇用対効果だ。効果と費用のパランスは経営者の意思決定の問題だ。
社会的な責任は、公共の場での議論が必要だろう。
企業や大学や病院などが情報公開して早い段階から意思決定の場に多くの人を参加させるべきである。
この続きは、次回に。