ドラッカーのマネジメントがマンガで3時間でわかる本㊲
71 世界をゆさぶる「老後の資金」問題
—日本の先延ばし戦術の限界
⚫️ アメリカをゆさぶる「老後の資金」の問題
20世紀の後半30年の成長産業は、情報産業ではなく金融サービスだった。
これは高齢化が関係している。
高齢者は退職後の老後資金を確保しようとした。
J・P・モルガン、ゴールドマン・サックスなどは、企業間取引きではなく、高齢者の老後の
資金づくりをねらって成長した。
一方、銀行はこれが理解できず企業の金融サービスに専念した。
その読みちがいが金融危機を引き起こした。
しかし金融危機以降も高齢者の老後の資金確保の動きは続いている。個人金融サービスを求めているのだ。
事実、ゴールドマン・サックスはリーマンショック以降もこのことを理解して業績をのばしている。
⚫️ 「日本の問題」はさらに深刻だ
ドラッカーは、日本の金融政策を「先延ばし戦術」と命名した。
バブル以降、日本の金融完了は「先延ばしが正しい」と考えた。
政治家、世論、ワシントンからの圧力もあって多額の資金を金融政策に投入している。
しかし、その効果は見られない。
「金融機関の傷の深さ」は深刻だ。金融危機は日本の経済構造を変えつつある。
日本はもともと「社会」を大事にしていた。
社会不安や暴動が起きないようにしている。そのため「決定の先延ばし」をするのだ。
アメリカで大事なことは安全保障と経済だ。
現在の危機的状況は日本の「社会の安定」さえ崩壊していくかもしれない。
もはや「先延ばし戦術」は「銀行の処理能力」の限界にきている。
72 国家はジャマだが、なくなることはない
—金、物、人のグローバル化
⚫ 帝国国家はいつも分裂する
経済活動において国はジャマな存在だ。
しかし国家や国境はなくならない。現在では「金と情報」がその国境を乗り越えている。
小国家でさえ経済的に独立しようとしている。
もはやグローバル化は定着した。どんな組織でも視野を国に限定するべきではない。
だが国を超越することはできない。
⚫️ 金、物、人はだんだん自由になる
三つの世界がある。
① 金と情報の真にグローバルな世界。
② 物の移動が自由な世界(サービスと人の移動の障害を取り除く)。
③ 国と地方が独立的な世界。
三つの世界は重なりあい、同時にいっしょに生きなくてはならない。
経営戦略の前提だ。多くの企業が国境を越えて仕事をする。
しかし進出先の国にとって、関心ごとは自国のことだけだ。
そこで進出する国、いずれにしても企業が行ってはいけないことがある。
「あらゆる種類の餌」の誘惑に負けてはいけないということだ。
減免税、保護のための高い関税、独占の約束、保護政策だ。
この誘惑に負けると競争力を失い産業の弱体化を招く。
悲惨な結果が待っているのだ。
⚫️ 「企業戦略を地域ごとに立てる」
よその場所で自社の戦略は押し通すな。
各国、各地方の個性はいつも存在する。
相手に「もっとこの製品を買え」と強制しても無理だ。
コカコーラはフランスではジュースで成功した。
日本では自動販売機のコーヒーで成功している。
「もっと、コーラを飲め」と脅すことはない。戦略は相手をみて立案し、実行している。
「他国や他の産業分野を注視し、自分たちの国、産業、市場を変える要素がないかを考えよ」(ドラッカー)
この続きは、次回に。