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池上彰のやさしい経営学 1しくみがわかる ⑫

[補足講義] 大規模小売店舗法

 

独占禁止法で市場の失敗をカバーする

この独占を防ごうとつくられたのが「独占禁止法」という法律です。

ある産業を1つの企業が独占してしまうようなやり方を禁止したり、ある産業に中で2つの企業しか

存在しないとき、その2つの企業が合併するようなことを認めなかったりする、これが独占禁止法に

基づいた独占の防止です。

この法律に基づいていろいろな監視をする役所が、「公正取引委員会」です。

 

独占禁止法公正取引委員会:消費者利益の確保のために、市場で公正かつ自由な企業間競争を

促進するための法律。独立行政委員会である公正取引委員会が所管しており、違反した企業に

対してはその行為を取り除くために「排除措置命令」を下す。

 

市場の失敗2—外部性

市場の失敗の原因には「外部性」というものもあります。

企業に勝手に自由な経済活動をやらせていると、コスト削減のためにこんなひどいことが起きてしまう。

だから政府が大気汚染防止法や水質汚染防止法などの法律をつくって規制をし、企業が勝手なことを

できないようにすることも必要なのです。

 

外部性:ある経済主体の行動を通さず他の経済主体に影響を与えることを指す。

 

市場の失敗3—-情報の非対称性

さらに市場の失敗には「情報の非対称性」によるものがあります。

対称ではない、つまりお互いに同等の立場でないということです。

 

経済主体の間に、情報格差が発生している状態。

 

消費者庁:消費者を不良品や食品の表示偽装などから守るため、複数の省庁から業務を移した

行政組織で、2009年に発足した。

 

経済学は時代の処方箋である

いまの資本主義経済は、市場の失敗をカバーしながら成り立っているということになります。

このように考えると、経済学というのは役に立つんだということがわかりますね。

 

公害の市場の失敗

1960年代から70年代の初め、日本各地で公害が次々と発生しました。

熊本県水俣市では、チッソという会社が工場から出す排水の中に有害物質が混ざっていたことに

よって、大勢の人が病気になりました。また、石油コンビナートが立ち並ぶ三重県四日市市では、

有害ガスが大気中に放出され、市民とくに子どもたちがぜんそくになるということが起きました。

この公害は、外部性による市場の失敗によるものなのです。

 

Q 復習問題

第1問  重商主義とは商売を重んじる考え方である。

 

      ×  重商主義とは、輸出で貴金属をため込むことが国を豊かにするという考え方。

 

 

第2問  分業は人間的な労働を分解してしまうとアダム・スミスは考えた

 

      ×  作業を分担することで生産力が上がることが分業。

 

第3問   輸出を伸ばして国の富を増やすため、輸出奨励金を企業に払うのは合理的な政策だと

           アダム・スミスは考えた。

 

                 ×  企業に補助金を出すような政策は経済の発展につながらないとアダム・スミスは批判した。

 

第4問 「見えざる手」とは、神によって経済が動くことを意味する。

 

                  ×『国富論』には、神の手とは書かれていない。

 

第5問   アダム・スミスが国富論で定義した富とは3である。

               1 労働力

               2 貴金属

               3 消費財

 

                   ⚪︎  3の「消費財」

 

 

この続きは、次回に。

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