超ロジカル思考 「ひらめき力」を引き出す発想トレーニング⑭
✔️ 誰とでも接すればいい、というわけではない
※ 省略致しますので、購読にてお願い致します。
✔️ オープン・イノベーションを成功させるためのカギ
ところが、この緊急プロジェクトが、「ガラパゴス」という製品ではなぜか成功につながらなかった。
ガラパゴスはiPadの前身になる製品で、電子手帳やワープロとして使え、かつ電子新聞や電子書籍も
受信できた。ところが、売り出して早々に撤退が決まった。その後アップルがiPadを売り出し、
ガラパゴスがやろうとしたことをすべて実現してしまった。
両社の間にはどのような違いがあったのだろうか。
ここでまたエクササイズをしよう。
Exercise 4-5
シャープのガラパゴスで、緊急プロジェクトがイノベーションにつながらない理由を考えてみてください。
⭐️ ヒント
同時に検索に引っかかるべき複数の概念は、何でもいいというわけではなく、適切な範囲があります。
緊急プロジェクトとは、社内のさまざまな部門に分散している人材を集めてくる組織運営術である。
ということは、「社内にある知見で新しい製品ができる」という暗黙の選定に立っていることになる。
しかし、ガラパゴスは電子新聞や電子書籍などのコンテンツがあってはじめて生きる製品だ。
それがなければただの電子手帳になってしまう。
このコンテンツの品揃えがネックになり、魅力的な製品にならなかった。
iPadはここを克服し、多様なコンテンツやアプリを載せることで、魅力的な製品に仕上がった。
緊急プロジェクトがザウルスやアクオスで成功したのは、そこで必要な知見が、半導体や液晶などの
「部材のレベル」と、情報端末・テレビなどの「完成のレベル」に限られていたからだ。
その範囲であれば、社内に十分な人材がいる。
ところが、ガラパゴスやiPadは、それだけで済まない。
「部材のレベル」「完成品のレベル」に加えて、コンテンツやアプリを動かす「プラットフォームの
レベル」に関する知見が求められたのだ。
そこではソフトウェアやアプリを動かす「プラットフォームのレベル」に関する知見が求められたのだ。
そこではソフトウェアや通信、著作権の保護などに関する知見が求められる。
それらに関して十分な知見を出せる人材は社内にはいなかった。
そこでは社内の人材を巻き込む必要があったのだ。つまりオープン・イノベーションである。
言い換えれば、iPadのような製品は、単に製品をつくるだけでは済まず、プラットフォーム型の
ビジネスモデルを創ることを意味する。
このため問題が複雑化し、その規模が企業の器を超えてしまったのだ。
これに対応するためには、社外のパートナーやエコシステムを活用するしかない。
それをやったのがステーブジョブズだ。
「緊急プロジェクト」というモノの見方からは、社内の経営資源は見えても、逆に社外は見えなく
なるのだ。このケースからわかる通り、ただバックグラウンドの異なる人を集めて「ワイガヤ」を
すればいいというものではない。将来の製品やビジネスモデルのアーキテクチャを解明し、
そこで必要になるであろう人や知見の範囲を適切に特定することが重要になる。
そこでは過去の成功体験や業界の常識を疑うことも必要になる。
それが、オープン・イノベーションを成功させるための鍵になるといってもいいだろう。
STEP 4 まとめ
常識から自由になるために、次のトレーニングに取り組んでみましょう。
◉ 新事業のテーマをひとつ選ぶ
◉ その事業に関連する「業界の常識」をノートに書き出す
◉ そこに書かれたことの中に潜む「欺瞞」について考える。
◉ そこから、顧客に提供できる新たな価値について考えてみる
◉ また、商品やサービスが利用されるシーンや、それが提供されるビジネスモデルの全体像を
イメージしながら、新たにどのような知見が必要になるのか考えてみる。
◉ そうした知見を持っていると思われる人、あるいはそうした人を知っていると思われる人に
コンタクトを取り、自分の仮説を示し、意見交換をしてみる。
この続きは、次回に。