人を動かす経営 松下幸之助 ④
✔️ 一人ひとりの持ち味を活かす
もちろん、そういう基本的な考え方に立って、日々の経営の上においては、さまざまな姿が出てくる。
たとえば、経営にしろ商売にしろ、それを力強く進めていくためには、多くの人びとの協力を得なけ
ればならない。だからそのために、自分の考えを訴えて、その理解を得ることも必要になってくる。
いいかえれば、説得ということである。
よりよき説得をすることができるかどうか、それによってことの成否、経営が大きく左右されること
にもなるのである。
また、人を活かすという点からすれば、信頼ということも大切である。
上司から、周囲から十分に信頼されてこそ、のびのびと力を発揮して活動することもできる。
だから、そうした点を十分に考えて、みずからも他を信頼するという態度を養うことが肝要であろう。
さらに、人を活かすためには、信念の大切さ、あるいは人間自体についても、いろいろな角度から
考えていくこともなされなければならない。
いずれにしても、人間は磨けばそれぞれに光る、さまざまな素晴らしい素質をもっているということを、
とくに経営に携わる人は正しく認識しなければならない。
その上で、一人ひとりの持ち味をどうやって活かしていくかを考え、実践していきたい。
お互い人間一人ひとりの喜びにみちた人生、日々の生活というものも、そういうところから生み出さ
れてくるのではないかと思うのである。
この続きは、次回に。