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IoTビジネス入門 ⑮

■   シェアリングコミュニティが自動運転カーの一歩を切り開く

 

米国のようなクルマ社会の場合、一家に1台以上のクルマがあって、毎日の生活に利用しているのですが、

日本の場合、特に都心では電車通勤の人が多いでしょう。

そんな背景から、現在、カーシェアリングのサービスが普及しつつあります(米国でもサンフランシスコの

ような人口密集エリアではカーシェアリングが進んでいますし、逆に日本でも都心でないエリアでは

クルマ生活が当たり前ですが)。

 

かさばる買い物をする場合だけ、遠くに出かけたい週末—-毎日乗らないクルマのために高額のローンを

抱え、保険料金を支払うよりも、必要な時だけ近所の駐車場に停まっているクルマを借りた方が、

長い目で見れば安くつくため、徐々に利用者は増えてきています。

カーシェアリングを利用したいヒト、つまり、たまにしか運転しないヒトが増えれば増えるほど、

自動運転の恩恵を受けることができます。

実際、「免許は持っているけど、ペーパードライバーだから」と運転しないヒトも多いでしょう。

一方で、自動運転カーに「運転の楽しみ」はありません。

むしろ、運転から解放された時間を自分のものとして楽しめる、という切り口の新しいメリットが

発生します。

決して「クルマで遠くに遊びに行きたくない」というわけではなく、「運転が怖い、できれば運転し

たくない」という理由でクルマを使ってこなかった女性が、女子会と称して自動運転カーで楽しく

ドライブしている状況は容易に想像がつきます。

クルマがステータスだった時代に生まれた男性と違って、老若男女を問わず、クルマのことはよくわ

からないけど、みんなとの時間を楽しむことが上手な人にとってみれば、自動運転カーは、単なる

移動手段ではなく、新たなエンターテイメント空間にすらなるのです。

こういう利用者層が増えてくると、カーシェアリングで利用するクルマは自動運転カーであるほうが、

ペーパードライバーの不安を取り除き、移動空間自体にエンターテイメント性が発生することから、

利用が進むと考えられます。

クルマに乗り込むと会社に向かってくれる、化粧をするのも朝食をとるのもクルマの中でできる。

友達の家に行ったり、お気に入りの洋服を物色しに街に行くのも自動です。

雨が降っても、ドア・ツー・ドアで運んでくれるから、傘がいらなくなるかもしれません。

 

このようにして、自動運転カーが当たり前な社会では、カーシェアサービスが全盛となる可能性が

高いといえます。さらに、カーシェアサービスが増えてくると、カーシェアリングサービスの比較サ

イトや、様々なサービスと連携したポイントサービス、移動中に利用できる店舗を紹介するような

サービスも今以上に出てくる可能性があるのです。

 

■   すべてのクルマが自動運転カーになった場合をイメージする

 

「すべてのクルマが自動運転になったとしたら」

 

そういう状況自体、なかなか想像しがたいかもしれませんが、「そのような世の中になったらどうす

るか」と考えることは、自社のビジネスを発展させる上ですごく大切です。

では、すべてのクルマがインターネットにつながり、自動運転になるとどうなるというのでしょうか。

クルマ同士が位置を確認しながら走ることができれば、幹線道路ではさしずめ、切れ目のない、電車が

連結しているかのようにクルマが進むことになります。

乗っているあなたは、何もすることがありません。

そこでビジネスサイドとして必要なことは、クルマの中で、どういうタイミング・シーンで、どんな

エンターテインメントを提供するか、になります。

現在、世界のクルマの保有台数は、11億台を超えたといわれています。

これがすべて自動運転カーに置き換えられるとすると、全くインターネットに接続していなかった

11億台以上の「機器」が接続されはじめるわけなので、経済効果は計り知れません。

すでにスマートフォン等で実現できているエンターテインメントコンテンツの焼き直しから、移動し

ながらでなければ実現が難しい、これまでになかったコンテンツまで様々なサービスが立ち上がるで

しょう。

クルマで移動中に景色を撮影して、自分のクラウドストレージに保管したり、ソーシャルネットワークに

投稿することもできます。行ったことのない地域で名産を検索し、気軽に楽しむことも今以上にやり

やすくなるでしょう。

クルマの中はリビングの延長上となり、ゲームを楽しんだり、カラオケを楽しんだり、お茶を飲んだり

しながら、どこに立ち寄ろうかと会話を楽しめるのです。

このようにして、クルマの分野には、今後さまざまな企業が参入してくるでしょう。

では、この分野を制するのは、クルマ企業でしょうか?

はたまたコンテンツフォルダーでしょうか?

クルマ自体は先述した通り、モーターとバッテリーという汎用的な技術でつくれるので、モノ自体は

割と簡単につくれるようになるはずです。

一方、自動運転になって、空いた時間をどう過ごすか、というエンターテインメント面でのアドバン

テージもクルマ会社にはありません。

こういった環境で自動運転カーが普及する未来では、コンテンツや人口知能に長けた企業が、クルマ

社会の大きなプレーヤーになっている可能性があります。

つまり、クルマ業界におけるシェア争いは、自動運転カーの時代には今はまだ見ないプレーヤーを

巻き込んで、一度リセットされる可能性が高いのです。

 

 

この続きは、次回に。

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