通勤大学実践MBA 事業計画書 ②
第1章 ビジネスプランの目的
1-1 ビジネスプランとは
自分が行うビジネスはどういった事業か、そのビジネスは儲かるか、そしてそのビジネスは
実行可能なのか—-これらが記述されたビジネスプラン(事業計画書)は、あなたがビジネスするうえで
最も重要なバイブルの一つです。
もっといえば、ビジネス上ではあなたの分身ともなり得る存在でもあります。
そのため、ビジネスプランを作成するにあたっては細心の注意を払い、よいプランを作成する必要が
あります。
安易な計画(ビジネスプラン)で事業を成功させようとするのは、直感や勘だけで経営を行おうと
することと同義です。また、いくら練りに練ったプランでも、現実離れし過ぎたりしていれば、
「机上の空論」と一蹴される可能性もあります。
無論、「よいビジネスプラン」がそのままビジネスの成功を意味するものでもありません。
ビジネスプランの作成と実際の遂行にはバランスのとれた視点が必要なのです。
ところでもMBAではなぜケーススタディ(事例研究)を学ぶのでしょうか。
「同じようなケースは通常のビジネスでは起こらないため、過去の事例を学ぶのは意味がない」
ともいった議論は、残念ながら単純かつ一方的な視点といえます。
実際には、「さまざまな事例を学ぶことで、将来起こり得るイレギュラーなビジネスの動きを認識し、
その対応オプションを考える」という“失敗しないためのトレーニング”の視点が重要なのです。
同様に、ビジネスプランの目的も“いかに成功させるか”ということ以上に、“いかに失敗しないか”と
いうことに重点をおくべきです。
そのためには、想定される環境や自分の状況を把握し、それらに対する策を周到に準備しておくと
いう視点を持ち、事業体制を強固なものにしていくことが求められます。
● ビジネスプランの重要性 ●
□ 成功するための計画—-綿密に実行可能な準備を行う
□ 失敗しないための計画—環境やじぶんの状況を考え、あらゆるリスクへの対応策を用意する
1-2 誰のためのビジネスプランか
ビジネスプランの役割を、より大きな視点で考えて見ましょう。
注意しなければならないのは、ビジネスプランとはあなた(または、あなたとそのチーム)が何が
したいのか、そしていかにしてそれを達成するのかを、第三者が読んで理解できるように書かれた
ドキュメントだということです。
確かに、あなたの事業アイディアは素晴らしいものかもしれません。
しかし、それを実現し、成功させるためには、実行してくれる人たち(社員などの仲間)が理解し、
共感し、実践してくれる必要があるのです。
さらに、社内だけでなく社外の利害関係者のすべてが理解・共感・実践(協力)してくれて初めて
「実際のビジネス」になっていくのです。
要するに、ビジネスプランを考えるうえで二番目に重要な点は、
“ビジネスプランは自分が理解するためだけのものではない”という視点を持つことです。
そしてビジネスプランには、大きく分けて次の三者の読み手が存在します。
① 自分
② 社内
③ 外部の利害関係者(外部ステークホルダー)
ビジネスプランを作成して活用するためには、この三者の視点を常に意識する必要があります。
視野を広くして、誰が何の目的で読むかということを常に意識しながら内容や書き方を考えるべきです。
決して、自分の思い込みだけで作成した「一人よがりのビジネスプラン」に陥ってはなりません。
次項では、自分、誰が何のために必要としているのか、また、いかにしてそれらの人々の理解を
促すかについて順を追って考えます。
● ビジネスプランの読み手 ●
ビジネスプランには3者の読み手が存在する
↓
① 自分(自己確認)
② 社内:マネジメント層、創業チーム、その他
③ 外部:資金提供者、取引先
この続きは、次回に。